朝の陽に染まる丹頂雪はらに
影きよらかにひきて歩めり
鳴き交し白羽ひろぐる丹頂の
つがひの舞ひはかがやきてゐよ
廃線の「幸福駅」をたづねたり
客車置かれてまばゆき歳月
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第21回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
朝の陽に染まる丹頂雪はらに
影きよらかにひきて歩めり
鳴き交し白羽ひろぐる丹頂の
つがひの舞ひはかがやきてゐよ
廃線の「幸福駅」をたづねたり
客車置かれてまばゆき歳月
帯広、稚内、小樽 旧国鉄広尾線では、かつて「幸福駅」に向かう「幸福ゆき」切符に人気が集まった。宗谷本線稚内駅は日本最北端の駅(北緯四五度二五分)で、抜海港付近には約二〇〇頭の海豹が越冬。小樽駅の駅舎の壁には、三三三個の円筒形ランプが吊り掛けられている。