特別な作業には、その作業が行いやすいように専用の“治具”というものが準備されていて、その道具を使用することで作業負荷の軽減、作業精度のアップ、安全性の向上など多くのメリットがある。特に、今使用している治具は自分が提案したもので、実現までには技術的な検討も多くなされた。

仲間の意見も織り込まれ、その分使い勝手も良く思い入れもひとしおだ。今後も機会があればこの提案システムに応募して、職場の改善に貢献したい。

関係する標識の表示は見易く、“読み違い”や“見間違い”が起こらないよう、表示位置や文字の大きさが考慮されている。それらも、その場で働く作業者の意見を反映させた結果で、自身の経験も大いに役立っていると自負している。一部が自動化されている大型機械では、緊急停止ボタンが人の近くの見つけやすい位置に配備されていて、万が一の場合直ぐに停止できるようになっている。(Hardware)

③作業場は、温度や照度などが定期的に測定されていて、快適に作業ができるよう充分な管理がされている。夏の暑い時期や冬の寒い時期の作業環境がずいぶんと改善された。

入社時は、作業スペースと資材の置場との境が判らないほど(当時はそのような決まりは元からなく誰もが適当に物を置いていたのだと思われる)雑多な雰囲気があったが、今は作業スペースや、資材置き場、通路の区画が明確に分けられ、見た目にもスッキリとしている。

余談だが、自身が入社した年の冬に、室内にもかかわらず何処からか吹き込んでくる雪の中で水作業を行っていた。若かったせいか、辛かったという記憶はなく、懐かしいという記憶しかない。

ゴミの分別を厳格にした時期からだと思うが、作業場の4Sが隅々まで行き届くようになった。ゴミが落ちていないのだ。

たとえ落ちていたとしても、気付いた者が自主的にそれを拾うような社風が芽生えた。今の環境になって初めて気付いたが、不要なモノが無駄に目の前に置かれていることは、意外と自身のストレスになっていた。(Environment)

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。