第一章 発達障がいに悩む人たち

発達障がいは先天性のもの

発達障がいとは、さまざまな先天的な要因により、発達に遅れや偏りがあることをいいます。そのために、記憶力は優れているが、人とコミュニケーションをとるのは苦手である、好きなこと以外には全く集中できないなどといった症状が現れてしまいます。

「なんでうちの子が発達障がいになったのでしょうか」

これは、私のクリニックに来る方の大半がする質問です。

そして、たいてい「子どもが発達障がいになったのは躾のせいだ」と周りから言われて悩んでいたり自己嫌悪に陥っていたりしています。

確かに、躾や家庭環境によって発達障がいの症状は抑えられたり、進んだりすることはありますが、発症の原因は、遺伝などの先天的なものであると考えられています。

先天的なものなので、発達障がいが完治する手段は今のところはありませんが、「発達障がいだからうちの子はもうダメだ」とむやみに落ち込んだり恐れたりしなくても大丈夫です。

症状を改善し、一人で社会生活を送れるようになるための手段はたくさんあり、育、治療、就職のサポートに至るまで、高い効果を示す向き合い方は判明されています。

発達障がいと向き合うために大切なことは、早期発見、早期介入、そして的確なサポートです。

「自分の子どもが発達障がいだったらどうしよう」と不安になり、二の足を踏んでいても時は何も解決してくれません。時は容赦(ようしや)なく過ぎ去ります。「まずは診断してみよう」という一歩が、お子さんの未来を大きく前進させるのです。