中村:腰でも同じことが言えるんでしょうか?

溝口:同じです。たとえば画像診断で脊柱管狭窄症だと診断された患者が同じような治療を受けているケースがありますが、脊柱管が狭まっているという構造上の問題なのに、どうやってこれらの治療で根本治療ができるのか?

多少の緩和(痛み)はできたとしても完治までは持っていけません。たまに「真っすぐ腰を引っ張る牽引をやっています」という声を患者から聞くことがありますが、これに大きな意味があるのでしょうか? 腰椎椎間板ヘルニアの患者が受けるのであれば、まあ少しは納得できる、というぐらいの話です。

中村:そういう治療を行うところには行かない方がいいですね。

溝口:そうです。こういった治療をやって治るはずがないことは、医者が一番知っているはずです。また、電気治療などの物理療法は保険点数が低いし、根本的な治療をするとなると時間も労力も必要ですから、そこまではやっていられないというのも本音の中にあって、つい事務的・機械的な治療になってしまうのでしょう。

中村:患者の思いと病院側の考え方にギャップがあるんですね?

溝口:だからといって、そういうスタンスで患者を治療してはいけませんよね。治療費と信頼というものをいただいているんですから。来院される患者の絶対数が必要であり、それが一番大事だと思っている病院や医者も多いですね。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『ゴッドハンドが語るスポーツと医療』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。