しかし、一旦整合性が悪くなり両者の“噛み合わせがズレル”と、人と周りの要素との間には当然隙間が発生してしまいます。

この隙間の空いた状態が、人の生活でいうところの“相互間の行き違い”や“問題”、“ちょっとした不具合”などを表します。

このように噛み合う部分は、常に同じ状態ではなく状況が常に変化します。そして、隙間の間隔も、ほんの少しの場合もありますが、ときに非常に大きくなることもあるのです。

図1中に「m;management=マネジメント」が各要素を取り巻くように回っています。この“マネジメント”とは一体何でしょうか。

普段の生活に例えるなら、“社会活動の仕組み”もしくは“ルール”みたいなものと言い換えても間違いではありません。例としてm-SHELモデルが人間社会を表したものと考えるのであれば、ここでのmを“法律”や“世の中の常識”と考えれば判りやすいでしょう。

mは“人とその周りの要素とをうまく調和させ、お互いの関係をより良い状態にする、そんな目的で作られた決め事”と解釈できます。その意味から、中心で活動する人の快適性を求める時、マネジメントがうまく機能しているか否かは、非常に重要なポイントになります。

組織においては、図2に示す図形の意味を次に挙げた例で説明できます。

①S;Software=マニュアル、手順書、基準書、教育用資材など
②H;Hardware=機械、器具、装置の設計、掲示板、それぞれの設備の配置など
③E;Environment=作業環境、作業特性、作業を行う場の雰囲気など
④L;Liveware=関係する人、職場の上司、職場の同僚・仲間など
⑤L;Liveware=中心で活動を行う人(本人)
⑥m;management=マネジメント

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。