ここに第1条と第9条(現代語訳)をご紹介しておきましょう。関心を持たれた方はぜひ全条文に目を通していただきたいと思います。

第1条
おたがいの心が和らいで協力することが貴いのであって、むやみに反抗することのないようにせよ。それが根本的態度でなければならぬ。ところが人にはそれぞれ党派心があり、大局を見通している者は少ない。だから主君や父に従わず、あるいは近隣の人びとと争いを起こすようになる。しかしながら、人びとが上も下も和らぎ睦まじく話し合いができるならば、ことがらはおのずから道理にかない、何ごとも成しとげられないことはない。②

みなさんご存知のことわざ「和を以て尊しとなす」という教えがここに説かれています。原文では「一曰、以和爲貴、無忤爲宗(一に曰く、和(やわらぎ)をもって貴しと為し、忤(さか)ふる無きを宗と為せよ)」と書かれています。

第9条
まこと〈信〉は人の道〈義〉の根本である。何ごとをなすにあたっても、まごころをもってすべきである。善いことも悪いことも、成功するのも失敗するのも、かならずこのまごころがあるかどうかにかかっているのである。人びとがたがいにまごころをもって事にあたったならば、どんなことでも成しとげられないことはない。これに反して人びとにまごころがなければ、あらゆることがらがみな失敗してしまうであろう。③

ここでは企業活動にとって欠かすことのできないチームワークと誠実さについて述べられています。和の精神が国づくりの根幹であると同時に、企業や人生の基本でもあると説かれています。これが日本人の真の姿ではないかと思うのです。何をなすにしても人という財産の上にものごとが成り立つという考え方が古代から存在していたことがわかります。

ここでは第1条と第9条のみを紹介しましたが、全条文を読みますと、聖徳太子という人物がいかに誠実で情熱があり、人のために尽くし、成長を願っていたかがひしひしと伝わってきます。世界に誇る日本品質のもとを辿ると、この聖徳太子の教えにいきつくと思うのです。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。