これまでも、ヒューマンエラーの発生に対しては、その原因についていろいろと検証されてきました。「装置が悪い」、「環境が悪い」「時間がない」云々。

しかし、ヒューマンエラーの防止対策を考える前に、これだけはしっかりと認識しておく必要があります。“エラーは何処で起きるのか?”との問いに対する“正しい答え”は、これらの“装置”や“環境”や“時間”ではありません。エラーが起きる場所は、紛れもなく“人間の脳”なのです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、「エラーが起こったから、そのエラーを起こした当人が悪いのだ」と断定しているわけではありません。エラーは、人を取り巻くいろいろな状況が人の脳に悪い影響を及ぼしたその結果です。

悪い影響を受けた脳が、間違った動きをさせられてしまったのです。つまりは、悪いのは人ではなく、脳に間違いを起こさせるところの“悪い影響”です。そ

れならば、何が人の脳に悪い影響を与え、間違いを起こさせるのでしょうか。この疑問を解くためには、さらに別のモデルを使って考える必要があります。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『 ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。