小腸のぜん動運動によって、ゼリー状になった食べ物と腸内の無数の細菌が見事に混ざり合い、細菌の分解力で食べ物を吸収されやすい物質に変えるのです。

その結果、食べ物が腸内の細胞に効率よく吸収され、最終的に糖質、脂質、タンパク質の栄養素などに細かく分解されて肝臓に運ばれます。肝臓で酵素やホルモンなどの大切な物質を合成したり、貯蔵したりし、全身に運ばれることになります。

自律神経のもうひとつ、交感神経は元気ハツラツの興奮モードを活性化する働きがあります。血管に作用して血圧を上げ、身体を冷ましてくれます。集中して勉強したり、仕事や運動などで頑張ったりできるのは交感神経のおかげです。

日々の生活では、副交感神経と交感神経がバランスよく連動しながら朝の目覚めから、夜の睡眠までの日常活動をコントロールしています。

しかし、イライラ、不安、怒り、悲しみなどの精神的な不調から抜け出せないでいると、強いストレスとなって交感神経はいつまでもダラダラと刺激を受けて、副交感神経の活性化が妨げられることになります。ストレスに陥ると同時にステロイドホルモンやアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌されます。

ストレスが続くことで、副交感神経がコントロールしているリズミカルなぜん動運動ができなくなります。便秘や冷えが起こるだけではありません。小腸には口から体内に入る食べ物のほかにも、細菌やウイルスなどの病的な微生物があります。

そうした体外から侵入する微生物に対処できる最大の免疫(病気に対する抵抗機能)の場所が小腸で、全身の約7割の免疫細胞が集まっています。

ぜん動運動が低下すれば腸内の血液の巡りも悪くなり、免疫作用も腸内細菌の分解作用も低下して食べ物の腐敗や生き残った微生物などから不純物や有害物資が産生されます。

だからこそ心身に影響が出てきます。穏やかな気持ちが消え、緊張感が続いて落ち着かず、不信感や怒りっぽくなります。さらにストレスが続けば、ますます自律神経のコントロールを失い、ときに落ち込んでふさぎ込み、生活への意欲や関心も薄れたりします。

引きこもったり、不眠が続いたり、便秘や勃起機能に障害が出たりします。勃起障害が続けば、本当にEDになってしまいます。血液の流れにも影響して冷えやしびれ感がひどくなったりするのです。

そして、特にぜん動運動の低下から、悪化した腸内環境の中で産生された不純物や有害物資が健康障害を招く誘因になるのです。