日本で使われるオザグレル・アルガトロバン

脳梗塞の急性期治療では、まず血栓を溶かして、詰まった血管を再開通させる血栓溶解療法を行えるかどうかを第一に考えます。しかし、この治療は前述のように現時点では脳梗塞になった人の5%程度にしか使えません。

使えない人には、抗血小板薬のアスピリンを使うかどうかを検討します。アスピリンには点滴製剤もありますが、日本では使用できません。ところが、日本にはオザグレルナトリウムという点滴用の血液をサラサラにする抗血小板薬があります。

脳梗塞では、半身の麻痺を発症するとともに飲み込みが難しくなる人も多いので、初日からは薬の服用が難しい場合があります。 このような場合、点滴製剤は非常に便利です。

さらに、オザグレルナトリウムにはアスピリンにない脳血管を拡げる作用があり、脳循環を改善してくれる可能性があります。これにより、脳梗塞の進行を防いでくれる効果が期待されます。

実際、オザグレルナトリウムを使った場合と使わなかった場合を比べると、使った場合、運動障害が明らかに改善されることが確認されています。ただ、どの脳梗塞にも使えるわけではなく、発症後5日以内の、動脈硬化を原因とするアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞に用いられます。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法 』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。