テコンドーの知識を深めるにつれて、技の幅も一気に広まり、様々な状況に対処できるようになる。使いこなせる技もさらに磨きがかかり、精度も上がっていくだろう。また、攻撃の交わし方も改善されていく。ただし、人間の体には急所と呼ばれる箇所はそれほどなく、攻撃できる場所もかなり限定されている。

幅広い訓練を実践してゆく中で、生徒らはその事を学び、相手の急所を適切な力で的確に突く方法を学ぶ。体の機能をしっかりと理解できれば、相手の急所を適切に判断し、瞬時に制圧できるようになる。

護身術の実演では、たいていの生徒は、見る者を魅了し楽しませる技を選ぶ傾向にあるが、あまり効果的な技ではない。実際、素早く簡単に相手を制圧できる技というのは、見 ていて気持ちいいものではないし、その残虐性のため通常は実演されることもない。テコンドーでは、そうした護身技法を型や日々の練習に組み込んでいるが、初心者には分かりにくいかもしれない。

上級者は、型における基本的な護身技法を理解している。もしテコンドーから芸術的側面を取り除き、武術だけを残した場合、それは身を護る上でとてつも なく強力な手段となるだろう。

道徳や倫理の教育は、生徒にとってとても重要である。身を守るべき場面に遭遇した時、テコンドーでは過度な力を抑制するよう教えられる。相手の攻撃をかわす時、それは即座 に、効果的に、適切に実践されなければならない。

実際に自身を守るべき状況ではセカンドチャンスなどない。スピード、正確性、意外性が最強の武器となる。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『人の道 伝統的テコンドーの解釈』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。