第4章 脳梗塞の治療いろいろ

rt-PA静注療法の投与禁忌事項・慎重投与事項

rt-PAは、血栓を強力に溶かすことで劇的に症状を改善させることがある一方で、合併症として出血をひき起こすことがあり、投与に際しては十分な注意が必要とされます。患者さんに投与できるかどうかについて、いくつかの前提条件があります。既に述べましたが、まず、脳梗塞が起こってから4.5時間以内の投与開始が必要となります。

発症時刻がはっきりしない場合には、患者さんが最後に正常だったことを確認できた時間が最終確認時間となります。その時間から4.5時間以上経っていたら、残念ながら投与することができません。

症状が急激に良くなっている人や、症状がとても軽い人には、あえて出血性合併症の危険性を冒してまで投与を勧められません。頭蓋内出血を起こしたことのある人、最近手術を受けられた人、消化管出血の持病がある人、検査で出血しやすい状態がある人などはリスク(危険)が高いと判断し、原則「投与禁忌」事項として、投与を行いません。

また、投与を考えても良いが、副作用その他が出現しやすく、良い機能の改善が必ずしも期待できない場合は「慎重投与」事項とされています。またNIHSSスコア26点以上は慎重投与になっています。

この「慎重投与」の場合でも様々な条件が定められており、これらの条件に当てはまるときに、最終的には患者さんの家族によくその「リスク(危険)」と「ベネフィット(利点)」を説明して同意をもらったうえで、投与することを慎重に判断することになります。

なお、効果判定は、修正ランキンスケールを用いて行います。