1軒目、ダメでした。2軒目留守でした。3軒目に向かう途中にお墓がありました。

何気なくいくつかの古いお墓の石を見てみました。何と、斎藤の苗字のお墓がいくつか一緒にあるのです。少し考えているうちに、鹿沼市役所で見た戸籍のどこかにツルという名前があったのを思い出しました。いくつものお墓の石を見ていると、何と、ツル、の字があるのです。信じられない、何という偶然、神様が助けてくれたのだ、と驚きました。

2軒目の家に戻ってみましたがまだ留守でした。仕方なく今日は帰ろうと帰り始めました。

途中、畑で働いている奥さんがいました。何となくですが「斎藤さんの家を探しています。斎藤よしじろうさんという方の家です。この奥にあるお墓の斎藤家だと思われるのですが、何かおわかりになられますか?」と聞いてみました。

偶然の恐ろしさです。その女の人は「私はそこの家のもので、斎藤です」とおっしゃいます。鳥肌が立つような恐ろしさでした。

よく事情を話しました。あー、何とかなった、ととてもうきうきした気持ちになって足取り軽く帰りました。何度考えても信じられないような偶然でした。人間努力をすれば神様が助けてくれるものだとつくづく思いました。 

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『認知症の母を支えて 103歳を元気に迎えるまでの工夫』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。