Chapter1 天変地異

舗装道路は刃物で切り取られたようにスパッと終わっている。その先は、盛江の言う通り、茂みになっていて、雑木林が奥へと続いている。目の前の木を見ると、よく茂った枝振りがあり、幹は太く、根もしっかり張っている。とても昨日今日で成長したり、植え込まれたようではない。

雑木林の奥は、枝葉が重なり合い、濃い緑が入り組んで、延々と続いている。まるでジャングルである。早坂と盛江は舗装道路の切断面を見て、靴底でそこを擦っては、首を傾げた。沼田は切断された道路の路側の外の、土の部分にしゃがみ、地面を調べた。

「みんな。ここを見てくれ」沼田は一点を指差した。「ここ、不思議じゃないか? 道路が切断されている向こうとこちら側とでは、土が違う。色も、固さも、粒具合も」

三人は沼田の傍にしゃがみ込んだ。早坂は指先で向こうとこちら側の土をそれぞれつまんでほぐし、感触を確かめた。

「確かに違う」

「頭を上げて道路脇を見てくれ」沼田は立ち上がって道路の右手を指差した。「道路の切断面の延長線上……何か違わないか」

一見すると深い雑木林である。だが、不明瞭ではあるが、確かに、植物の種類や葉の色が、切れた道路のこちら側は淡く、向こう側は濃かった。