第1章  夫婦の問題

(8)社会関係資本の乏しい男性

▼上下関係の人付き合いの強い日本社会

ところが、日本はその社会関係資本が極めて乏しいことがわかっています。

もともと日本は、300年近い江戸幕府の統治以後も、政府やお役所などを中心とする「行政」の組織機能が縦横無尽に発達し、機能してきた経緯があります。その施政の対象となる最小単位が、町内会であり自治会です。

かつては集落内の五人組や隣組とも呼ばれた隣近所の「世帯(個・家族)」を構成員とするものです。この「行政」と「世帯(個・家族)」を含む地域社会集団の二極間の組織構図が、日々の社会生活の中で、密接に融合して長く定着してきたのです。

地縁的な組織の町内会・自治会は、「行政」の支援の下で、地域の盆踊り・お祭り、交通防犯・衛生美化・消防防災などの活動を取り仕切ってきました。

「行政」と「世帯(個・家族)」との緊密な上下関係のネットワークの隙間に、町内会・自治会や既に述べている職場やスポーツ・娯楽・趣味の集まりなどを含む対等な人間関係が育ちにくかったと言えそうです。

日本に乏しい対等な人付き合いの組織とは、欧米の社会生活に広く根付いているボランティア、NPO、市民活動などに関連した組織です。