脳梗塞・認知症・ロコモを医師が徹底解説!
「高齢社会の三大疾患」の一つ、脳梗塞を知ろう。
治療・予防法に注目が集まる三大疾患について、医師が徹底解説をするシリーズ・第1弾。
患者・その家族が理解しづらい、脳梗塞時に脳で起こっている変化を画像でわかりやすく図解。また、いかに予兆をとらえ迅速に病院へ行くかが重要な脳梗塞における初期症状、診断・治療、予防法についても流れに沿って解説。リハビリの章では、手指、下肢の麻痺チェック、失語症患者との会話法などもイラストで示すことで視覚的に把握。
医療従事者だけでなく、介護・福祉関係者が患者への説明・指導を行ううえでも活用できる知識が詰まった連載をお届けします。
rt-PAは血栓を溶かす力が非常に強く、注射と点滴で投与されます。脳梗塞の発症後4.5時間以内に使用することにより、後遺症の程度を大幅に軽減することが可能です。
具体的には100人の脳梗塞の患者さんにrt-PAを使うと、約40人の方が後遺症のほとんどない状態に回復します。日本では2005年の10月よりこの治療が保険適応になりました。
しかしこの薬にはリスクもあるのです。壊死巣に血栓を溶かす薬を使って血の流れを回復させると、壊死巣に出血を起こす(出血性脳梗塞)危険性も高まるので、この治療の選択には慎重でなければなりません。
身体の中にもともとあるプラスミンという酵素は、前駆体であるプラスミノゲンから作られ、血栓を溶かす作用があります。rt-PAは、プラスミノゲンの作用を増強することで血栓を強力に溶かす酵素です。
これまでの血栓溶解薬と違って、遺伝子組み換えにより作ったrt-PA製剤で、血栓自体に作用して血栓を溶かすため、血栓溶解療法に適した薬です。
※本記事は、2020年1月刊行の書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法 』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
本書で紹介している治療法等は、著者が臨床例をもとに執筆しております。万一、本書の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。
また、本書に記載している薬剤等の選択・使用にあたっては、医師、薬剤師等の指導に基づき、適応、用量等は常にご確認ください。