「まだ仲間がいたか。お前も殺してやる」

とサンは言って、僕を一撃で殺した。しかし僕は死ななかった。僕は体と魂を分離させることに成 功していたのだ。僕が選ばれた理由は死なないからであった。

それからというもの、僕はしつこくムー王に人類を絶滅させないように説得した。王は怒り、何度も僕を殺してやると叫んだ。それでも二人は議論を戦わせ、そして、言い争いをしている最中、ふと、王の孤独な横顔を垣間見ることもあった。一年たったが、ムー王は地球を攻めなかった。ムー王は、僕とムー王のどちらが正しいのか、決着をつけたかったらしい。

その頃、地球では、ある異変が起きていた。兵隊が光を使えなくなったのである。そのため人類は科学を進歩させた。そしてついに水爆という、どんな悪魔も倒し、その悪魔の能力に関係なく、殺戮・破壊を繰り返すことができる新型兵器を完成させたのだった。そして、人類は水爆を搭載させたスペースシャトルを数千基、月にめがけて発進させ、総攻撃を開始した。月に接近すると人は奇妙な装置に搭乗し、月面の上から水爆をぱらぱらと落とし、あっという間にムー王と悪魔を絶滅させてしまった。

こうして、ムー王が死んだことにより、月には空気がなくなり、水爆によって、月にはクレーターが多数できた。クレーターは地球から見ると、白うさぎが餅をついている他愛ない形に見えるらしい。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和晩年』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。