俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.09.04 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第10回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 伊耶那岐が灯火の下に見たものは 変わりはてた妻の姿だった 伊耶那美の身体は腐りうじ虫が 這いまわるまま横たわっていた 伊耶那岐はおそれおののき背を向けて 黄泉の国より逃げ出したり
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『ぼくらの風船』 【第5回】 美山 よしの 僕が何か大きな壁を乗り越えたような達成感を感じていた矢先、あの事件は起こった おてがみありがとう。お父さんも、毎日大阪で仕事をがんばっています。まことも、アンサンブルのれん習をがんばっているのですね。つづけて三つも合かくをもらえて、えらかったですね。「ウィーンのおどり」がどういう曲かお父さんは知りませんが、タイトルを見ても、なんだかすごくむずかしそうな曲ですね。でも、むずかしいことにちょうせんしてがんばることは、とても大切なことだとお父さんは思います。何回も何回もまちがえ…