大小様々な脳梗塞が、MRIで同時に描出されることが多く、そうなると今まで述べてきた脳梗塞の分類(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)に1つひとつ当てはめるのは医療の現場ではあまり重要なことではありません。この多様な症状を実際には「トルーソー(Trousseau)」症候群あるいは癌関連脳梗塞と呼びます。

逆に、新しい脳梗塞が多発し(図1)、血液検査でD-dimerという項目が高い場合、体に血栓(心房内血栓など)がある可能性を考えますが、時に、癌の存在を疑って全身の検査をすると実際に癌が発見される場合があります。

原因となるのは肺癌、乳癌、子宮癌、消化器癌、腎臓癌、前立腺癌などであることが多いとされます。

治療は、急性期にヘパリンなど血液をさらさらにする点滴の抗凝固療法が有効です。

しかしながら、癌を治療しなければ血液の固まりやすい状況は根本的に改善しないため、やはり癌そのものに対する治療がもっとも大事になります。

[写真1]多発性脳梗塞の拡散強調MRI。多発する脳梗塞を認める(矢印)
※本記事は、2020年1月刊行の書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法 』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。