11 母校の創立90周年記念行事

数年前に母親の母校の県立鹿沼高等学校(以降、「鹿沼高校」)から創立90周年記念行事の案内、寄付の依頼書および住所録の希望の有無の案内が来ました。面白いことにほぼ同じ時期に私の卒業した神奈川県にある高校の創立記念行事の案内が来ました。

私はほとんど考えることなく、トランプ大統領、小池都知事の言葉ではないですが、即母親ファーストでいこうと決めました。母親に資料を見せると「あー、懐かしい。ぜひ高校に行きたい。また、実家にも寄って友達にも会いたい」との反応でした。

私は、言ってしまってから、困ってしまいました。母親は車椅子でしか移動できないのです。車椅子ごと乗せられる個人の介護タクシーに連絡して鹿沼までの往復について聞いてみました。高速を使って片道3時間です。

可能なことが分かりましたが、心配が二つ。途中でトイレに行きたくなった時、と、往復6時間車椅子に座ったままの姿勢での背骨への影響です。

母親には「途中トイレに行きたくなった時どうしようもないから行くのは諦めて。その代わり僕が代理で式典に参加できるか聞いてみる」と言って、鹿沼高校の同窓会事務局に電話しました。返事は「ご参加いただけることを歓迎します」とのこと。

母親を何とか説得して、「僕が代わりに参加してきます。住所録は購入します。先ほど5000円を寄付振り込み用紙で送りました」 と説明しました。母親の顔はどう見ても不満の顔でした。内心は式典以上に実家に行きたい、ということがひしひしと感じられました。

不満の一部でしょうか、「武美ちゃん(私の名前です)、5000円なんてけちけちしないで私の通帳からおろして1万円にして」と言うので、更に5000円振り込みました。

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『認知症の母を支えて 103歳を元気に迎えるまでの工夫』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。