8 目には青葉

春の「もみじ」の葉は幹から枝分かれをし、濃い色から薄い色へと、日ごとに上に伸びていく。枝の先に咲く小さな「もみじ」の葉は薄緑色でいかにも可憐だ。年ごとに芽吹く柔らかな枝と「もみじ」の若葉を見ると心が安まる。

冬に枯れ落ちた葉が五月の上旬に再び蘇り、次第に見事な葉に育っていく。私は生きとし生けるもの、そして人々と切っても切れないものとして、草木の美しさに心惹かれる。

この季節、宅の庭の梅も幹から枝がまっすぐ上へ上へと伸びて葉をつけていく。その瑞々しい梅の「楉(ずわえ)」はほぼ同じ時期に育つのだ。「もみじ」に比べると葉は少し厚め、梅は実をつけるからであろうか……。

和食に彩を添える春の若葉の「もみじ」、秋の「紅葉(こうよう) 」は料理の盛り付けに添えると、いっそう映え、いや増しに美味しく感じる。「もみじ」は、和菓子の姿を整え、会席料理にも出され、自然の美を味わわせてくれる。

「梅干」は、梅の実を手間暇かけて様々な工夫を凝らし、追求を重ねてつくられた先人の知恵なのである。私は幼い時、「梅干」は酸っぱくてイヤだイヤだと思いつつも、身体に良いと言われ食べさせられた。

だが月日が経ち、食べ物にも色々な経験を積み、かの「梅干」は私にとって好物の一つとなった。「梅干」は地方地方によって、またつくり手によって、その味が微妙に異なる。

近年、日本のお米は大変美味しくなった。中でも日本の美味な塩で握られた「梅のおにぎり」。お酒をいただいたその後の「梅茶漬け」。簡素で粋な日本文化の特徴ではないだろうか。

各国で日本のお米が美味しいと言われるのも嬉しいものだ。そして和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録された。「お寿司」は名手の寿司職人さんの技術によって高級化され、世界中の方から「SUSHI」と持て囃されるようになった。

日本はお米を主食とする「瑞穂の国」。皆がそれぞれ力を合わせ、あらゆるものを創意工夫し、改良を進めた。そして世界でも類を見ない平和な国となったのである。個々の人々が努力に努力を積み重ね、他者を大切にし、互いに助け合った結果であろう。

美しい若葉の季節は、私たちの未来に輝かしい希望の光を与えてくれる。

※本記事は、2018年11月刊行の書籍『世を観よ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。