キャンプのスケジュールは完全に狂ってしまった。午前中の男子の予定はキャベツの収穫体験。地元農家の方がキャンプ場に来て説明をしたのち、畑に向かうはずだった。けれども、時間になっても農家さんはやってこない。電話で連絡を取ろうにも、キャンプ参加者の携帯電話は全て圏外だった。

観光案内所の回線電話を借りよ うにも、係員が出勤してこないため施錠されており、中に入れない。そうしている間に女子は予定通り昼食の準備にとりかかる。あてにしていたキャベツが無いので、献立の予定も変更になった。

「俺の手違いかな?」キャベツ収穫イベントの担当は盛江だった。「もしかしたら畑で現地集合だったかもしれん。畑はここから歩いて三十分くらいのところだから、俺ちょっと行ってくるよ」

一方早坂は、難しい顔をして変形した浅間山を見つめ ていた。彼の隣には男子大学生・沼ぬ ま田た 稔みのるがいる。早坂 は双眼鏡で山を覗き、時折沼田に渡して山を見せた。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『異世界縄文タイムトラベル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。