早坂ら三人が一斉に振り返る。

「おお、林、起きたのか」
「どうしたの?」
「脅かすんじゃねえよ!」

「これを驚かずにはいられないよ!」
林は南の山並みを指差し
「あれを見なよ」

三人は言われるままに南の稜線を仰ぎ見た。

一瞬、間を置き、また目を凝らす。

顔をしかめ――もう一度凝視。

そして息を飲み、

「あっ!」一斉に声を上げた。

薄水色の南の空、そびえる浅間山の形が、昨日見た姿と違っていた。

「浅間山が少し大きくなってる!」泉は興奮気味に言った。

盛江は瞬きもせず山の稜線を見つめ

「確か、こう、もっと尖っていたよな?」

早坂は唾を飲み

「噴火したり、隕石がぶつかったりして、山のボリュームが減るなら分かるが、山が高さを増してさらに尖ったり、しかも一夜にして裾野にあおあおと植物が茂るなんて、ありえないよ。一夜の変化にしては異常だ」

「昨日の爆音と何か関係があるのかな」

林の疑問に、三人は首を傾げて黙っていた。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『異世界縄文タイムトラベル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。