現代日本人が失った「体の軸」

「なぜ現代の子どもたちの体力が急激に低下しているのか」さらに探究してみました。

私は、「衣装」の変化にも大きな原因があると感じています。今でこそ洋服が当たり前となっていますが、本来、日本人の伝統衣装は「和装(着物)」です。様々な研究でも紹介されていますが、日本人が和装を身にまとっていた時代には、現代病の代表的な体の症状である腰痛、肩こりは、みられなかったと言われています。

昔は、電化製品がなく、長時間、重労働が多かったので、生活の知恵として、襷掛け、帯、前掛け等が日常で必ず使用されていました。皆さんも、地域の伝統的なお祭り、年中行事、運動会、酒蔵などでそれらを見かけた経験があるのではないでしょうか。

ひと昔前の日本人が共通して身につけていたのは、「帯と襷掛け」でした。私は、今日までの指導経験から、この二箇所を一本の紐で結ぶことによって、体幹が安定し、体幹支持力が上がり、長時間、重労働に耐えうる身体感覚が得られることを発見しました。

身体の中心が整うことで、姿勢が安定し、呼吸が深くなり、心も落ち着いてきます。見た目の華やかさだけではなく、日常で機能的な体の使い方をするために、先祖代々、子孫に受け継がれ、知恵として生まれたのが「民族衣装」なのです。

最近、着物姿勢を体感した四十代の方から「久しぶりに着物を着て正座をしたら、スーツを着たときの窮屈な感覚とは違い、胸、上半身の力が抜け、楽な姿勢で座れていることに気づきました。しかも、長時間座ったにもかかわらず足がしびれず、いつもより呼吸が深くなり、体の疲れを感じませんでした!」と驚きのコメントをいただきました。