第五章 姿勢を正す

寝返りが多い人は要注意

ギックリ腰は、普通の生活を送っていて突然になるというものではない。姿勢を歪める習慣や慣れなどの蓄積に応じて起きる。体からすれば、予定通りの行動だ。

横向き寝をするということは、例えば、右側を下にして横になる人は、左腰が悪い。横を向くことにより、悪い意味で傾いて安定している状態をつくっている。そのままの状態を続けていると、右の方に左をかばうがゆえのストレスがたまって痛みが出る。さらに続けると、今度は押し戻しが始まって腰骨あたりがグラグラと揺らぎ、そんなときに荷物を取ろうとして屈(かが )んだりすると、腰が「バクッ」と動く。

寝違えも同じで、寝相(ねぞう)が悪くなったときに引き起こされる。特に、寝違えは低い枕を使っている人に多いといえる。低い枕で横向き寝をしているときに寝返りをすると、首に過大な回旋(かいせん)が起こり、一気に痛みがくる。寝違いや ギックリ腰というのは、ある日突然に起こる病気じゃない。予定通りに起きているのだ。一般的に、寝返りが多くなったときが危ない!

ギックリ腰は早期治療が重要

私のところに来れば、初期のギックリ腰はその場ですぐ治せる。歪んでいるので、そこに姿勢矯正をかける。もちろん痛い。「真っすぐにしろ」と言っ て、左右対称で腹を引っ込めたところに、コルセットを「バシッ」と固定する。初期のギックリ腰は、良い姿勢にしてコルセットを着けて、それで終了だ。悪い姿勢で何日も放置すると腫(は)れあがったりする。最悪の場合は1週間くらい動けなくなるので、初めが肝心だ。

注意してほしいのは、軽めのギックリ腰のとき、温泉や熱い風呂に入ったり、長風呂やマッサージをしたりすることだ。腫れているところを温めると、さらに腫れる。マッサージで患部をグリグリとやることは、炎症が起きているところをすりつけているということだ。一時的に痛みが取れて治ったような気になるが、そのあとにひどいギックリ腰に移行し、動けなくなる。

食事のときの姿勢も重要

胃の調子が悪いという人に対して、「上を向いて寝るとよくないから、横向き寝がいい」「胃の向きの関係で、右を下にした横向き寝がいい」などという話も、いらん話だ。胃もたれで胃酸が上がってくる人のパターンというのは決まっていて、姿勢が悪くて背中を曲げている人は、逆流性食道炎になるケースが多い。

姿勢が曲がれば内臓を圧迫する。背中を丸めてご飯を食べる人も、必ず食べたものが上がってくる。背筋をグーッと伸ばして食べると、食べたものはストンと落ちる。食事のときの姿勢というのは、すごく重要なことだ。

※本記事は、2019年10月刊行の書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。