第1章 認知症の改善のために行った工夫

7 入れ歯の安定剤​

入れ歯をしっかり固定してよくかめるようにしました。歯は非常に重要です。

母親は80歳ころから総入れ歯になりました。運よく、とてもよく作られた入れ歯でしたので、亡くなるまでの23年間以上同じものを使い続けることができました。

歯茎(はぐき)の土手が盛り上がっているうちは入れ歯も外れることなく気にしないですみました。100歳の少し前あたりから徐々に土手が低くなりました。土手が低くなるにつれ入れ歯にガタが出て、かんでいると入れ歯が動いてかみにくくなりました。

困りましたが、薬屋さんで安定剤を買って入れ歯を土手にうまく固定できました。安心しきっていましたが、そのうちに下の入れ歯がよく外れて、時には、入れ歯が口の中で垂直になり口の中を傷つけるようになりました。103歳近くだったと思います、

歯医者さんに診てもらうと歯茎の土手がすっかりなくなり、入れ歯が簡単に動いてしまうことが分かりました。その歯医者さんは「入れ歯が使えないとなると胃瘻(いろう)を考えないといけないですね」と言いました。

私は心配になり、高齢者の知識が広い内科のお医者さんに相談しました。その内科の先生は穏やかな顔で「心配ないですよ。土手がなくなり入れ歯が使えなく、歯茎で柔らかいものを食べている人はたくさんいますからね」と言いました。

3カ月も深刻に悩んでいましたが解放された気がしました。更にその先生は「困ったらペースト状の食べものもいろいろありますよ」とも教えてくれました。