第2章 専門医は脳梗塞をどのように診断するのか?

専門医は脳梗塞をどのように診断するのか?

動脈硬化度検査-ABI(動脈壁厚さ)検査とbaPWV(動脈壁弾力性)検査

ABI検査は「ankle brachial index」の略で、baPWV検査は「brachial-ankle pulse wave velocity」の略です。

これらは手と足の血圧を比較し脈波の伝わり方を調べて、動脈硬化による血管の老化などの度合(血管の硬さ)や早期血管障害を血管の状態として数値化するものです。

加齢や生活習慣病の進行とともに動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳卒中など生命予後に大きな影響を及ぼす疾病を引き起こす可能性が高くなります。動脈硬化とは、動脈血管の壁にコレステロールなどの脂質が付着することで血管が硬くなり、内部が狭くなる状態のことをいいます。

動脈硬化を引き起こす危険因子として次のようなものが挙げられます。脂質の異常、喫煙、糖尿病、肥満、高血圧などです。動脈硬化の進行を放置すると、例えば心臓に酸素や栄養を供給している冠動脈に起きれば狭心症や心筋梗塞、それから脳の血管がもろくなれば脳出血、詰まれば脳梗塞、足の動脈に起これば下肢の壊死につながる可能性があります。

血圧と脈波を同時に測定することにより、足の血管の詰まり(ABI)や血管の硬さ(baPWV)を知ることができます。

・ABI検査は何が分かるの?

ABI検査(足関節上腕血圧比)は足首と上腕の血圧を測定し、その比率(足首収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)を計算します。動脈の内膜にコレステロールを主成分とする脂質が沈着して内膜が厚くなり、粥状硬化ができて血管の内腔が狭くなる「アテローム動脈硬化」の進行程度、血管の狭窄や閉塞などが推定できます。

動脈硬化が進んでいない場合、横になった状態で両腕と両足の血圧を測ると足首の方がやや高い値を示します。しかし、動脈に狭窄や閉塞があると足首の方の血圧は低下します。動脈の狭窄や閉塞は下肢の動脈に起きることが多いとされるため、上腕と足首の血圧の比によって狭窄や閉塞の程度を数値化できます。