賞状を読み上げること、記念品の箱に何が入っているのだろうかと興味を持つこと、箱の中からピカピカの銀杯が出てきた時の驚きと喜び、一連の脳への刺激が認知症の改善になっていたと思いました。この儀式のようなことは私にとってもとても嬉しかったです。母親が、賞状の文章を最初から最後まで声を出して読めたからです。もちろん漢字もちゃんと読みました。最後の「内閣総理大臣 安倍晋三」で読み終わりました。

[写真1]100歳のときに安倍内閣総理大臣からもらった記念品(表と銀杯)

ある時、母親は「安倍ちゃんもだいぶ苦労しているのねー。以前より白髪が増えているよ」「トランプさんと話をしているのだから、英語ができるのね。頭がいいのねー」と言っていました。安倍総理大臣とトランプ大統領には母親はとても興味を示し、テレビに出ると母親といろいろな雑談ができて、とてもいいネタとなっていました。

ほかに楽しみにしていた番組は『笑点』でした。毎年、笑点カレンダーを買って笑点メンバーの似顔絵を壁に貼っていました。日曜日の夕方は必ずと言っていいほど笑点を見ました。笑点が始まると「歌丸(途中から昇太)、小遊三、好楽、木久扇、三平、円楽、たい平、それに山田隆夫」と名前を呼んでいました。

カレンダーを見ては「似顔絵は本人とよく似てるねー」と感心していました。笑点メンバーがお客さんを笑わすようなことを言うと「みんな頭がよくてたくさん勉強しているからあんな面白いこと言えるのよねー」と言っていました。三平が映ると、いつも、「お父さんによく似ている。お父さんのコマーシャル『お餅が入ってべたべたと、4人で食べても50円。安くてどうもすみません』と言って右手を頭の上にのせていたわね」と思い出して笑っていました。

このギャグとともに好きだったのは3人の漫才師のナンセンストリオが言っていた「親ガメの背中に子ガメを乗せて、子ガメの背中に孫ガメ乗せて、孫ガメの背中に曾孫(ひまご)ガメ乗せて、親ガメこけたら、(本当は、「子ガメ、孫ガメ、曾孫ガメこけた」と言うところを省略して)「みなこけた」というギャグでした。

私が何かにつけて「親ガメは?」と誘うとこのセリフを全部ニコニコしながら言いました。この二つのギャグもしょっちゅう繰り返して言うように誘いましたが、記憶力の維持、改善にはとても貢献したと思っています。以上長くなりましたがテレビによるさまざまな効果です。