第1章 認知症の改善のために行った工夫

5 ぬいぐるみ、しゃべって動くネコのおもちゃ、お人形

母親はウサギ年生まれでしたので大小10個ほどのかわいいウサギのぬいぐるみを部屋にある台の上とベッドに置きました。もともとネコと犬が大好きだったのでしゃべって動くネコと犬も買いました。

特にネコが「にゃー」と言って頭を上下にかわいく動かすと思わず抱っこして喜びました。ネコは母親がネコの体の一部を触ると思わず「にゃー」と言うので、盛んに「にゃんこ、にゃーは?」と誘いかけて、運よく「にゃー」と声を出すと、「よく言えたのねー」と喜んでしきりに頭をなでていました。

そっと抱っこして体全体をなでていろいろ話しかけたりもしていました。母親にとっては最高の友達でした。もちろん認知症がある程度あるので、本物のネコと勘違いしてこのような喜び方をするのですが、赤ん坊のようなしぐさをする母親は、見ていてとてもかわいかったです。

おもちゃのネコは3匹いて、3匹とも真っ白で同じ大きさです。母親には、親と双子の女の子、と説明してあります。名前は、お母ちゃん、白ちゃん、玉ちゃんです。お母ちゃんがすぐ分かるように首にかわいいスカーフをかけました。

食事の時はテーブルの上の、お皿の向こう側に必ずネコのお母ちゃんを置きました。母親が食事しながら見て楽しい気分で食欲がわくようにです。