甲高幅広用の靴が外反母趾を生む

いわゆる甲高、幅広フニャフニャ靴が、現在の靴業界を席巻している。大半が幅広の甲高足用にできているので、普通の人がそんな靴を履くと、どうしてもガバガバの状態になる。患者には、そんな靴を履きたければ、靴の中敷きを入れて、靴底の高さを調整するように勧めている。それでも甲高足用の靴は、靴ひもを締めてもフィット感がないために、今度はサイズの合わない浅い靴を履いてしまう。そうすると、足がどんどん、その靴の格好通りに変形が進む。昔はなかった男性の外反母趾や内反小趾が、現代では増えてきている。

小学生からの靴選びが重要

小学生のころから姿勢を矯正すれば、病気はすごく減るはずだ。しかし、学校の上履きとか、学校で指定された靴なんていうのには、ろくな靴がない。ペラペラで短くて、幅広だ。みんなが履ける靴を選ぶから、そうなるのだろうが、長くてしっかりした靴を履いて、履き慣らさないといけないのに、なぜかそういう教育はしない。子どもたち一人ひとりに、それぞれ合った靴や履き方があるのに、全員に合わせている。

子どもの足はどんどん成長している。スポーツをしている子は、自分の足にピッタリした靴を選ばないこと。昔の靴は、長く履いていると足に合わなくなって穴が開いたが、今の靴は高級で強いから穴なんて開かない。だから足が靴に沿って変形する。昔の運動靴だと、足は変形しなかったが、今では実際に起こっている。靴業界には睨(にら)まれるかもしれないが、履きやすい靴が良い靴とはいえない。

美よりも機能

個人的に、女性のお尻は「ピッ」と飛び出したほうがいいと感じるが、力学的に考えると、どうしても無理がある。こうした矛盾は山ほどあるが、治療としては、そっちの美ではなく、やっぱり機能というか、そんなところを追求している。歩き方では、男性モデルの歩き方が理想で、お尻をフリフ リして足をクロスして歩く女性モデルの歩き方はむちゃくちゃだ。でもそれは、美を追求した仕事の話。普段はあんな歩き方はしていないはず。女性の患者には「宝塚の男役を真似して歩いてみたら?」と勧める。ほとんど膝を曲げることなく、颯爽と歩いているので、より進化形に近づく歩き方といえる。

※本記事は、2019年10月刊行の書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。