開拓の人の放ちし鮒殖えて
手拍子うてば岸の辺による
溶岩のむらがる森に分け入れば
みずならの太根岩を抱けり
*水楢 ブナ科の落葉高木。
雪解けて山の斜面に鬨の声
あげて咲きゆく花園ありき
*鬨の声 おおぜいが一度にどっとあげるさけび声。
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第10回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
開拓の人の放ちし鮒殖えて
手拍子うてば岸の辺による
溶岩のむらがる森に分け入れば
みずならの太根岩を抱けり
*水楢 ブナ科の落葉高木。
雪解けて山の斜面に鬨の声
あげて咲きゆく花園ありき
*鬨の声 おおぜいが一度にどっとあげるさけび声。