非難されることを承知で正直に述べます。私は、妻が家庭にいることが当たり前で、家事や育児、さらには介護施設に入所させた私の母への対応が妻の“仕事”であることに何ら疑問をもたなかったと思います。そのことで妻に心からの感謝や労いの言葉をかけてきたとは到底言えません。今、背筋が寒くなる恥ずかしさをおぼえています。

50代半ばで四国から横浜に転職することになっても、一緒に付いて来ることに妻は同意しませんでした。そんな状況もしかたないと思えるほど、夫婦間の交流は冷え込 んでいたのだろうと思います。

終身雇用制度や年功序列制度が既に崩壊しており、女性の社会進出が著しい今日でさえ、男性偏重社会はしぶとく生き残っています。日本の夫は、今なお「一家の大黒柱」としての強い自覚があり、これまでの長い間、家庭内のことは全て妻に任せて、仕事だけに集中することを期待され、実践してきた歴史があります。しかし、若い世代を中心に、男性の長時間労働に違和感をおぼえ、男性ももっと積極的に家事・育児 や親の介護を分担すべきだと考える男女が確実に増えています

日本男性には、さらに注目すべきやっかいな“問題”があるのです。

それは、孤独です。それも世界一、親しく付き合う友人が少ないのです。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『ストップthe熟年離婚』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。