ステップスパーリングを自己評価する時、次のような質問を自身に問いかけるといいだろう。自分の動きをどれだけコントロールできていたか、動作の正確性はどうであったか、コンタクト無しで対戦相手とどれだけ距離を詰めて技を実践できていたか、攻め手と受け手の距離感とタイミングは正しかったか、体のどの急所に攻撃が当たっていたか、技は適切に当てられていたか、技はどれだけスムーズに実践できていたか。

このような質問は、個人の技術レベルと理解度を測る上で役に立つであろう。正確性、スピード、相手との距離感、動作の流れなどにおいて技術レベルが高ければ高いほど、理解も深まっていく。熟練されたステップスパーリングには、素晴らしい芸術的価値があり、それは見る者の心を惹きつけるほど優雅で熟達した身体能力を得た証である。

イルボ・テリョンは、おそらく相手と組むトレーニングとして最も洗練化された、崇高な構成となっているだろう。というのも、その練習は、テコンドー哲学を大いに表しているからだ。生徒は、テコンドーに対する個人の理解と解釈を互いに尊敬しあい、その心が彼らのステップスパーリングに表れている。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『人の道 伝統的テコンドーの解釈』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。