金本は今期阪神の監督になった。

西武が巨人をやっつけて日本一になった瞬間、というよりも試合終了の直前、グランドで泣いた清原を鮮烈に覚えている。

策略的に自分を捨て桑田を選んだ巨人へ、未練がましくどうして行ったのか。そのとき私は、「清原は人生を間違っている」と思った。

インターネットを覗いてみると、“清原容疑者「巨人に行って歯車狂った」” という記事が、「デイリースポーツ」サイトに出ている。

小倉智昭の推測として、「巨人に行って、生え抜きの選手がいてきつかったんだと思う。だから体作りをして、それが負担になってケガしたりとか……そういう人生の転機で歯車が狂っちゃったのかな」

巨人には巨人のポリシーがあるので、それはそれで良いのである。しかしそういう組織であることを、知る必要がある。江川にしても桑田にしても、策謀によって獲得した(策謀に応じた)者に、巨人軍での地位は与えられなかった。きっちり距離を置いている松井秀喜は、それだけでも怜悧なのである。

清原の場合は、巨人への移籍が確実に悪い結果になると、私は予見できた。悪女に惚れてしまった男、そんな感じに見える。谷や小笠原はそれを見越して割り切っていたと思う。清原が繊細だったとも言えよう。しかしそれは欠陥である。

夕刻5時45分、先生が部屋に来て、あっという間にハラに突っ込まれている管を抜いた。蚊にさされたほどの痛みもなかった。

5㎜ほどの穴で、明日の朝までには完全に塞がるそうである。人間の体というのはオモシロイものだ。

もう体にくっつけられたものはない。

良子に、「おなかのクダが抜けた」と電話した。

「明日退院できるねえ」と良子は即座に応えた。こまかい説明をしなくても分かる。

迎えに行こうか、と言われたが、その必要はないと言った。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『良子という女』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。