第三章 痛みの諸症状と治療法

朝のスイッチを入れよう

骨粗鬆症というと、やっぱりみんな歩こうとしますね。目標は「一日1万歩」「1時間の早歩き」なんていうことを言う人もいる。

でも、冷静に考えてみてほしい。一日1万歩なんて、年を取ってから歩けるわけがない。

私が勧めるのは、夏だと早朝の涼しい時間帯に15分から20分程度。寒くなったら朝食後に20分から30分程度歩いて、エアロビクス(有酸素運動)のスイッチを入れるんです。

朝からちゃんと起きて、体に朝だということを教える。できるだけ朝からちゃんと起きて、ちゃんとご飯を食べて、歩く。これがウォーミングアップ。

このあとは決して休憩せず、好きなことをゴソゴソとやる。そうするとエアロビクスのスイッチが日中ずっと入ったままで、5〜6時間の運動効果を保てる状態が続いて、体は「ああ、骨を強くせんと」と認識するようになるんです。

注意点は、やり過ぎは厳禁ということ。逆に、疲れて背中が曲がる原因になるし、疲れたから家で休もうということになり、休んだあとは疲れが取れたからと夕方に動き出す。生活のリズムやバランスが崩れる。

腱鞘炎は瞬時に治せる

クリニックを開業して25年を越えたが、腱鞘炎(けんしょうえん)の患者を長引かせたことがない。一度も手術をしたことがない。それは、すぐに治してしまうから。

よく腱鞘炎の治療では、指を「曲げろ」と言うが、私は「曲げるな」と指示する。ひたすら指を伸ばさせるんです。伸ばすといっても、力の目安は目から火が出る程度。私が治療すると痛がりますね。

涙を流して、逆に怒る人もいるが、治療が一段落して「はい、動かしていい」と言うと、「あれ? 楽になった」と、ほとんどの人がびっくりして、それで終わる。炎症が強い人には注射をすることもあるが、もうその場で治してしまうんでね。

こんなことをしていたら、注射をしまくったり、手術なんかをやったりする医者からはクレームもあるでしょうが、そんな医者は、要は「痛みを出さないで、楽に楽に治療していきましょう」ということ。でも、それは治療じゃない。

痛みは、あってしかり。その痛みを出さなくするために何をするのか、それが治療というものだ。

※本記事は、2019年10月刊行の書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。