第三章 痛みの諸症状と治療法

消えない痛みなんてない​

肩こりは単純な病気だ。たちが悪いのは、「肩こりには怖い病気が絡んでいる」などと吹聴するテレビや専門家。

肩こりが原因で発症する病気なんてありますか? 世間で一般的な肩こりの治療といわれるものは、肩こりを治すことをしていない。一時的に痛みを分からなくしているだけだ。

痛みを麻痺(まひ)させると、最終的には状態が悪化する。楽をしちゃダメということ。消えない痛みなんてない。薬には頼ってはいかんということです。

最近、痛みを和らげるための専門の治療を行うペインクリニックというのが増えている。私も一応、麻酔科出身なのでペイン治療はできるが、やめました。取ったらいかん痛みというものがあるんです。

注射や鎮痛剤を使って無理に痛むところを動かすと、だんだん慢性化して、しまいには薬を飲まなければ生活できない体になってしまう。内臓も薬でボロボロ。患者を治った気にさせるのが嫌なんです。痛みを誤魔化しちゃいかんのです。

成果を上げる骨粗鬆症

私の治療で圧倒的に成果を上げているのが、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」である。骨粗鬆症は、骨量が減って弱くなり骨折しやすくなる病態で、日本では1千万人以上いるといわれている。

超高齢化の進行に伴い、社会問題とされているが、治る病態だ。一般的に骨粗鬆症の治療では、「日に当たりなさい」「歩きなさい」「カルシウムをたくさん摂りなさい」と言われるが、私は「カルシウムは摂り過ぎるな」「日に当たるな」「長く歩くな」と、ほぼ真逆のことを患者に話している。

戦後の田舎では、圧迫骨折で背中が曲がっている人が多かった。つまり一日中歩き回って、日光を浴びて、魚はもったいないから骨まで食べたとしても、骨粗鬆症になっていたのだ。

食品関係の仕事の人は「カルシウムを摂ると骨が強くなる」、運動療法で仕事をしている人は「たくさん運動すれば骨が強くなる」と主張し、「日光に当たるとビタミンDが活性化するので、しっかり日に当たれ」なんて言う人もいるが、日に当たればシミやそばかす、皮膚がんの心配もある。最近は気候変動による熱中症の心配もあり、年寄りには「日に当たるな」と話している。

※本記事は、2019年10月刊行の書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。