第3章 国によって異なる永住権

2. 各国の永住権比較

シンガポール

資源の乏しい国土の開発、そして少子高齢化対策のために、同国は積極的な永住権付与などの移民政策を取ってきました。2000年以降は人口も急増し、2017年には人口561万人で、うち30%近くが海外からの移入者といわれます。

国民一人あたりのGDPも日本を抜いてアジアでトップになっています。経済発展に伴い、医療、教育そして治安も世界のトップレベルとなりました。

低い法人税率、所得税率、配当やキャピタルゲインの非課税、相続税や贈与税の免除などのメリットがあるため、多くの著名企業や金融機関が集まり、空港や交通機関などのインフラが発達しており、ビジネス環境も申し分ありません。ただこれらの魅力で増えた人口が、就労機会の縮小や都市問題を招いており、永住権取得条件の厳格化が進んでいます。

雇用による取得

一般的にはEP(エンプロイメントビザ=就労ビザ)を取得し、3年後に申請可能です。専門的な技術や知識を持つ人、あるいはビジネスで成功を収めて十分な税金を納めてくれると国が判断した人の場合、3年以内でも取得できることがあります。

投資による取得

GIP(グローバル・インベスタープログラム)と呼ばれるプログラム

あらかじめEPを取得する必要はありませんが、シンガポール政府指定のファンドに最低でも250万SGドル(2億円)の投資をした人を対象にしています。

条件として、

・3年以上の起業家としての経験(会社の財務諸表の提出)。
・経営している会社の直近の売上が年間5000万SGドル(40億円)以上、かつ直近3年間の平均が5000万SGドルを上回ること。不動産業や建設業関連の場合、直近の売上2億SGドル(160億円)、3年間の平均売上2億SGドルを上回ること。
・会社の株式全体の30%以上を保有していることなどがあります。

なお永住権に伴う義務として、CFP(主に老後の生活資金の確保を目指す強制貯蓄制度)や永住権取得二世からの兵役義務があります。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。