Ⅲ.心臓発作と脳溢血から生命を守るために

1 両発作の根本原因究明への臨床的考察

④酸性腐敗を招く原因が常在する

両発作発症前に、脂っぽい肉魚や牛乳など、酸性腐敗便の害の本体の原料物質であるタンパク質の過飲食や、酸性腐敗を助長する食品である砂糖などの甘味や酒の過剰摂取、および、消化機能の低下を招く諸原因(特にカゼの罹患や過労、ストレス、便秘、運動不足、冷えなど)が存在することを、常に確認できました。

⑤両発作は排便時やその前後に好発する

両発作発症の場所としてはトイレの中がかなり多く、また、便意をもよおしてトイレに行こうと思った途端に起こることが多いとわかっています。

このことから、「便意」は直腸内の糞便中の水分の吸収に伴って生じると推測されるので、その糞便が酸性腐敗便であった場合には、便意の発生とともに両発作が発症するのだと判断できます。

また、「吐き気やめまいを感じた途端に意識を失い、気が付いたときには病院のベッドの上だった」などの数多くの両発作体験者の言葉から、両発作は酸性腐敗産物の大量吸収の起こる時期および場所に一致して発症しやすいと考えますと、この機序を論理的に非常にすっきりと理解することができるのです。

さらには、両発作発症初期において気分が悪くなるなどの不快感を感じる人が結構います。しかし、酸性腐敗便の存在が知られていない現在、その不快感発生の原因が酸性腐敗便の産出・吸収であるなど、誰も知るよしもありません。そこで、風呂にでも入れば不快感が解消するのではと考えて入浴する人が少数ながらいるようです。

しかも、我が国の場合、入浴を気分転換の一つの手段として活用する風潮が古くからありますので、入浴時の死亡事例は他の国々よりも多いかもしれません(我が国における浴室内での死亡者数は、2016年の消費者庁の発表によると、年間約1万9千人となっている)。

現在は、それらの事例のほとんどは脱衣所と浴槽内との気温差が原因(そのためヒート・ ショックと呼ばれている)だと判断されていますが、実際はその中の何割かは酸性腐敗便が原因となった死である可能性があると私は推測しています。

すなわち、風呂に入浴して体が温まると酸性腐敗便の吸収が促進されるので、血液中に吸収されたタンパク性アミン類により脳の血管が収縮し、一過性の意識喪失が起こり得る状態になります。したがって、このことが洗い場での突然の昏倒や、浴槽の中での溺死の原因ともなり得ると考えられるのです。

⑥両発作の主症状は急性尿毒症症候群である

父は、引きつけと両発作との間に共通症状があることを確認しました。そして、その共通の諸症状を「急性尿毒症症候群」であると診断しました。

急性尿毒症の主要な症状は、頭痛、頭重、肩・頸・背部(ことにお腹の背中側)の凝り、めまい、耳鳴り、動悸・息切れ、結滞(脈拍が心臓の病変や衰弱のために不規則となったり、一拍動が脱落したりすること)、吐き気、嘔吐、呼吸困難、顔色・手足の蒼白化、手足の冷却、口や目の渇き、てんかん様発作、腱反射亢進、硬直、昏睡、異常血圧などです。

このように、急性尿毒症の症状は、ごく軽度なものから、死をも招き得る極めて重篤なものまで、非常に多種多様です。なお、脳卒中の場合には、症状が進むに従って、さらに片側の手足の麻痺やしびれ、呂律(ろれつ)が回らない、足がもつれてうまく歩けない、物が見えにくい(片目が見えない、視界の半分が見えない)等々が起こってきます。

なお、現代医学で言う尿毒症とは、「高度の腎不全(腎臓の機能が衰えたり障害されたりしたことにより、尿毒性物質の排出効率が顕著に低下して、腎臓がうまく働かなくなること)発症時において、尿中に排泄されるべき代謝老廃物や腐敗産物などの毒性を有する物質を十分量廃棄できなくなり、それらの物質の体内蓄積や、それに伴う種々の代謝異常・内分泌異常の発生により、全身に多彩な症状を示す状態」とされています。

なお、腎臓の機能低下はほとんどの場合非常に徐々に起こります。したがって、一般的に尿毒症は慢性的な経過をたどって、ごくユックリと発症、進行するのです。

一方、酸性腐敗便の産出・吸収によって生じる尿毒症は、なんらかの理由で消化がうまくいかない事態が生じ、食べた物が腸内で高度に腐敗し、それによって腸内に大量に産生された酸性腐敗産物が一過性に強力に吸収促進されることで発症します。そのため、このような経緯で生じる尿毒症は、突発的かつ一過性に発症するケースがほとんどなのです。

この二つのタイプの尿毒症は、前者は食物消化の後工程である腎臓の機能低下に起因します。一方後者は、食物消化の前工程である腸内における障害に起因するということで、それぞれの発症原因および発症メカニズムに顕著な差異があります。

したがって、酸性腐敗便中に産生される種々の腐敗産物(特にタンパク性アミン類)の腸 (ことに直腸)からの一過性の大量吸収で生じる急性尿毒症症候群こそが、両発作の真の姿だと父は結論付けているわけです。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。