第3章 国によって異なる永住権

2. 各国の永住権比較

ハンガリー

EU加盟国ながら、ユーロを導入せず自国通貨を使っており、物価も安い。また難民の受け入れに反対もあり、反移民キャンペーンも存在します。しかし労働環境はよく、育児支援も整っており、男女差別がないなど永住権のメリットも大きく、ヨーロッパ各国へのビザなし長期滞在も可能になります。

長期滞在による取得
・合法的にハンガリーに3年以上滞在している人。
・ハンガリー国内での資産やハンガリー語などが一定のレベルを満たしていること。
・3年間で270日以上のハンガリー国外での滞在歴がないこと。
・貯金残高が400万フォリント(160万円)以上あること。
などの申請条件があります。

マルタ

イギリス連邦とEUに加盟するマルタ共和国は人口43万人余り(2016年)の小さな島国です。しかし第二次大戦中、イギリスの軍事拠点になったことから、英語を90%近い国民が話し、教育レベルも高水準です。

地中海型の気候で、晴れの日が多く、治安も守られ、居住先として人気があります。政府は海外資本の導入に力を入れており、法人税の最低比率5%、相続税や固定資産税が免除されるなど経済的魅力も大きいのが特徴です。2018年には最大手の仮想通貨取引業者のバイナンスが香港から拠点を移すなど、世界中からIT企業や仮想通貨業者が集まり始めており、地中海のシリコンバレー、仮想通貨大国ともいわれています。

不動産投資などによる取得
・不動産購入は地域によって最低27万ユーロ(3510万円)から32万ユーロ(4160万円)の投資が条件です。
・不動産賃貸は同じく最低1万ユーロから1万2000ユーロの不動産の賃貸契約が条件です。

エストニア

旧ソビエト連邦から1991年に独立したエストニアは、バルト三国の一番北にある人口130万人の小国です。しかし国をあげたITの導入で、電子政府を築き、投票から税金の支払いに至るまであらゆる行政サービスがインターネットを通して受けられるIT先進国として世界の注目を集めています。

e-residencyシステムで海外からも会社の設立や銀行口座の開設などがインターネットを通じてできるようになっています。社会のインフラ環境が整っており、治安もよく、その上キャピタルゲイン、インカムゲインへの課税がないなどの条件が評価され、海外法人がエストニアに積極的に拠点を構え、進出するようになっています。

エストニアで永住権を取得するには、まず一時居住許可を得る必要があります。婚姻や家族での移住希望、就労や就学、起業、会社経営などが一時居住許可の対象となり、それぞれに証明が必要となります。その際、エストニア語の試験も課せられます。ただ日常的には英語がかなり通用します。

e-residencyを申請するには、次のサイトから応募できます。
http://e-resident.gov.ee/

英語での申請になりますが、Google翻訳も使えますし、誰でも申請が可能です。登録費用は、100ユーロ(1万3000円)かかります。有効期限は3年です。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。