第1章  夫婦の問題

(6)世界一家事・育児、そして介護を分担しない夫​

▼世界一家事・育児をしない夫への妻の不満

多くの妻にとって夫婦関係の満足度を特に引き下げているのがこれから述べる夫の家事・育児の分担率の低さです。悲しいことに日本男性は世界一家事・育児を分担しないのです。 図1を見てください。国際的な調査プロジェクト「家族と性役割に関する意識調 査」(2012年)として発表された衝撃のデータです。

日本の夫は世界でも極めて例外的な家事・育児を分担しない集団で、調査対象33カ国の中で見事に引き離されて最下位に甘んじていることです。欧米諸国の「18歳未満の子どものいる夫婦」の夫が軒並み 30パーセント以上の比率で家事・育児時間を分担している中、日本の夫は、唯一2割にも届かない約18 パーセントの分担率でしかないのです。

[図1]子どものいる夫婦の家事・育児に占める夫の分担時間率
18歳未満の子どもがいる夫婦の家事・育児の平均時間に占める夫の平均時間の割合を算出。分析可能な世界の33カ国について同じ数値を計算してランキング表示。ドイツは旧西ドイツと旧東ドイツに地域が分かれて統計が出ているため「西ドイツ」表記となっている。 【国際社会調査プログラム(ISSP)「家族と性役割に関する意識調査」(2012年)資料より引用しグラフ化】

そして、家事・育児の分担状況に対して、男性の6パーセントが自分の分担量は適当と思う以上に「かなり」多いか「やや」多いと感じています。女性では69パーセン トが適当と思う以上に多い(「かなり」と「やや」の合計)と答えているのです。この日本男女の差63パーセントがいわば分担に対する女性からみた不公平感や不満となるのですが、なんと、その63パーセントの数字は世界の調査対象国のトップです。日本の妻は自分の家事・育児分担量に対して、夫以上に世界一の不公平感・不満をいだ いていることになります。

結婚生活が長くなるにつれ、妻の不公平感・不満の中でも、特に強く感じる瞬間があるようですよ。それは、妻が、たとえば休日に突然の外出で慌ただしくしているときなどに、「俺の食事、どうなっている?」などと夫が他意もなく聞いた瞬間です。自分で何とかしてよ、と妻が口に出すか出さないかは別にしても、相当に深く記憶に残っています。

そういえば、職場の事務スタッフで結婚5年目に離婚した裕子さん(仮名、33歳) が言っていましたね。

「別れた亭主は、家事や育児をほとんど手伝ってくれませんでした。その頃の私は専業主婦でしたから、自分がやるべき仕事だと思ってあえて言いませんでした。それに、お願いしてやってくれても慣れない夫のサポートだと、私がまたやり直す必要があったりして、二度手間です。ただ、一度だけありましたよ。休日に次男が突然に高熱を出し、病院に行くときです。長男の世話をお願いしたのです。そのときですよ、『俺の食事は?』と言うじゃないですか。私が何を言い返したか忘れるほど、頭に血が上っていましたし、悲しくもなっていました」

本書の冒頭部分に登場した熟年離婚の奈津子さん(63歳)も同様な経験があるようで、「実家の母が体調不良というので、夕方見に行くことにしました。職場の主人に電話して、外食するようにお願いしたら、急に怒り出して、夕食を用意しろ、と。しかたなく準備しました」としみじみ述懐しています。どうやら普遍的に妻の不満の根底に残っているのです。