Ⅲ.心臓発作と脳溢血から生命を守るために

1 両発作の根本原因究明への臨床的考察

さて、「酸性腐敗便が両発作の根本原因だ」などと言うことは、皆さんはこれまで考えたことなど全くなかったはずです。したがって、もし私の話が真実であるならば、これまで両発作の原因だとして知らされてきたものは、真の原因ではなかったか、あるいは、十分なものではなかったのだということになります。

そこで、両発作の原因について、今まではどのように判断されていたのかを今一度振り返ってみてみましょう。

例えば、時の経過に従って丈夫な鉄が錆びて脆くなるのと似て、人間の体も歳月の経過とともに「老化」という変化を生じます。そして、永久の命を持たない生物はいつの日にか終わりを迎えることになります。

老化の一現象として皆さんもよくご存じのはずのものに「動脈硬化」がありますが、全身に張り巡らされた血管、その中でも極めて重要な脳や心臓部分の血管の動脈硬化の度合いが進行し、その部位が非常に脆くなって、ある日突如破綻を来したなら、これはひとたまりもありません。即、生命を失う原因となり得ます。

さて、両発作は、歳をとるとともに進行する動脈硬化で血管が脆くなって、それが破綻を来して起こることだと従来は理解されてきました。

しかしながら、全く普段どおりの生活が続いているのなら、両発作は容易には起こらないと判断されます。では、血管が破綻を来すそのきっかけとなるものとは、はたしてなんなのでしょう。この点をさらに深く究明する必要があるはずなのです。

このことについて父が得た結論が、「酸性腐敗便の産出・吸収が起こったとき」ということであるのです。

また、これまで両発作の発症の大半は偶発的なものという見方が主流でした。すなわち、徐々に血管が傷んで、いつの日にか破綻する、それがいつであるかはわからないけれど、将来やがて必ず訪れるはずのある日だという判断です。

しかし、その発生が“偶発”ということですと、両発作を予防、治癒するためには、何を、いつ、どうしたら良いのかがなかなかわからないことになってしまいます。

ところがそれが、酸性腐敗便の産出・吸収こそが根本原因だということが真実だとすると、 両発作の発症に必然性が出てきますから、予防や治癒の努力も的を絞って行うことが可能となります。

もちろん、何事も始まりにおいてはそうであるように、おそらくは疑心暗鬼の中で行われることになるでしょうが、実質的な成果が確認され始めたら、徐々に加速されて大幅な成果をあげ得るようになるはずだと私は強く確信しています。

そのことを皆さんに納得していただくためには、医学という“科学”の名のもとに、さらなる理路整然とした詳しい説明が必要だと思います。

もちろん、根拠となるデータは山ほどありますが、それらをすべて述べるのには相当な頁数が必要となりますので、本書では、皆さんが関心を持ちそうな、なおかつ医学に素人の人でも容易にご理解いただけると思われる範囲内で、その概要を以下に列挙します。

①両発作患者の腸内には必ず、激烈な悪臭を有する酸性腐敗便が存在する

父は、両発作患者の腸内には「吐き気をもよおさせる糞便」が必ず存在することを確認しました。

なおこの「吐き気をもよおさせる」という言葉は、次の二つの意味を有しています。

まず一つは、酸性腐敗便の直腸壁からの血液中への吸収に伴って生じる自覚症状の一つとして、患者本人に強い吐き気があるという意味です。

もう一つは、重篤な両発作発症時にその治療処置としての浣腸を行うに際して、病状が重篤であるために患者をトイレに誘導できないケースがままあるのです。そのような際にはやむを得ず患者の病床において浣腸を行うことになります。すると当然、排出された酸性腐敗便の発する臭気がその室内に充満することとなります。そこで、その場に居合わせた人々はその臭気を必然的に吸い込むこととなり、その悪臭の余りの物凄さに思わず、「オエエーッ!」と強く吐き気をもよおすという意味です。

また、その糞便は酸性度が非常に強いことから、ツーンと鼻を突く酸っぱ臭い刺激臭がありました。さらに、病状が重篤な場合には、尿、呼気、嘔吐物にも強力な悪臭がありました。

 ②腐敗便の悪臭度が両発作の重篤度と比例的である

父は、両発作患者の腸内に存在する糞便の悪臭度と両発作の症状の重篤度とが、ほぼ比例する関係にあることを認めました。

これは、悪臭度の強い糞便ほど毒性の強い酸性腐敗産物を多量に含み、体に対する害作用が 高度であることを示すと判断できるものです。

③悪臭便の完全排出や嘔吐が著効を現す

治療に際しては、この物凄い悪臭のある糞便が体内から十分量排出されない限りは、激烈な両発作症状が速やかに改善されることは「絶無」だと父は断言しています。

一方、この悪臭便の十分量の排出に成功すると、今の今まで激しく苦しみ悶えていた患者の 症状が糞便の排出とほとんど同時に劇的に改善され、発作が治癒することを父は認めました。

なお、糞便をある程度は排出できたにもかかわらず症状が十分に改善されないという場合は、まだ腸内に酸性腐敗便が残存していることを示しています。そこで、このような場合には浣腸をさらに繰り返し続け、症状が解消されるまでこの処置を引き続き行うようにする必要があると、父は考えていました。

そして、悪臭便の排出に手間取るほど、両発作症状が重篤化する傾向が明らかに認められました。したがって、例えば、発症した場所が外出先であるなどして、一刻も早く医療機関に移動しなければならないということでタクシーを探して歩き回るなどすると、その間に体が動き且つまた時間がかなり経過するので、糞便中の酸性腐敗産物の吸収が促進されることとなります。

このような際に、ことに狭心症などの急性心衰弱発作の場合は、より一層症状が急速度に重篤化しやすい傾向が顕著に認められました。

また、お腹を壊しそうだと感じた際に、嘔吐が可能な場合にはできるだけ速やかに戻して出してしまい、その後タンパク質の摂取を当分控えると、予後の経過が良好でした。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。