第二章 健康志向と健康商品のウソ

人気の健康寝具は、その場しのぎ​

低反発マットレスやクッションなどといった寝具用品が売れている。あれは、「いかに悪い姿勢で気持ちよく寝られるか」という商品だと思う。姿勢を良くしようとすると痛みが出る。それは病気じゃなくて、矯正(きょうせい)痛というやつだ。

歪(ゆが)みやねじれを取るときはどうしても痛みが出てくるので、一般の方は病気や何か悪いことだと感じ、嫌がる。こうした痛みを和らげるために、低反発の枕を使ったり、腰枕・膝枕・抱き枕とか、足を高くして寝たりするわけです。

実際にやってみて気持ちがいいことは、治療と思いがちだ。でも気持ちがいいことと、本来の歪みやねじれを治療することとは、正反対になることが多い。要は、「その場しのぎ」なんです。痛みなどの症状が、回復に向かっているわけではない。「使って気持ちがいいことをするな」とは言わないが、それを「治療とか健康のため」とか言い出したら、どうなんでしょうね?

サプリメントを鵜呑みにするな

健康を気取っている人たちに人気で、健康にいいとして注目されているサプリメントだが、安易に流行に乗っかろうとしてはいけない。そもそも人間の体は、凝縮した栄養分を摂るようにはできていない。1種類や2種類の常用までなら体は耐えられるが、それ以上になると、ご飯を食べる量が減り、おかしくなる。

サプリメントを自信満々に常用している人を見ると、「安易に人の言うことを信じ過ぎじゃないか?」と思えてくる。アメリカはサプリメント文化というが、それは保険料が高いから、ちゃんとした治療を受けていないだけだ。

サプリメントで本当に効くのはやばい、飲み過ぎると必ず副 作用が出る。国内でも、ピンからキリまで数えきれないほどの種類のサプリメントが存在している。「何かの健康にいい」とか「血圧を下げてくれる」 なんて、気が利く宣伝文句が並ぶが、本当にちゃんとしたものだったら薬になっている。

そして、サプリメントだろうと、飲み方を間違えたら危ない。現行制度では、サプリメントの種類はまだまだ山ほど増えるようにできている。サプリメントを鵜呑(うの)みにしよったら無事では済まない。

サプリメントに頼らず普通に食事を

サプリメントの悪いところは、濃度を足し算と思っているところ。濃度を増やせば毒になる危険性が潜んでいる。

例えば、塩。人は塩がないと生きていけないが、必要以上に増やすと危険だ。昔、一時ビタミンCの大量摂取が健康にいいと言われ、世間が騒いだことがあった。その結果、胃腸障害を起こす人が増えた。

つまり、サプリメントも使い方によっては健康障害を引き起こすということだ。健康のために、ご飯も食べずにサプリメントを摂取している人もいると聞くが、私には考えられない。何度も言うが、人間の内臓は、そんな濃縮された粒を摂るようにできていないからだ。

普通の食事をして、それを内臓がうまく吸収するようにできている。逆に、摂らなくてもいい成分を押し付けられている可能性だってある。体は必要以上にいらないものが入ってきたら、吸収するだけではなくて、今度は排せつしなければいけない。だから、排せつする努力を体に強(し)いているということだ。

栄養ドリンクの依存に注意

サプリメントの関連でいうと、栄養ドリンクはドーピング剤みたいなものだ。飲んでいるのは、自分の命を縮めて頑張っている人。体が、「キツいんで寝てくれよ」と求めているのに、無理やり体を叩き起こしているようなもの。

さらに依存が続けば、覚せい剤の使用につながる危険性だってある。栄養ドリンクと覚せい剤は、程度が違うだけ。栄養ドリンクを常用していると、今度は、飲まないと体が疲れたように感じる危険が生じることも危惧(きぐ)される。気軽に飲める栄養ドリンクだが、飲みようによっては悪循環に陥ることもあるので注意が必要だ。

※本記事は、2019年10月刊行の書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。