第1章  夫婦の問題

5)世界一のセックスレス夫婦

▼セックスできない夫とセックスしたくない妻

心因性EDの原因として、職場や家庭のストレス、パートナーが「その気」にならないなどのセックスの不一致、過去のセックスの失敗などの広い意味の精神的ストレスが、一般には折り重なってEDに陥っていきます。困ったことに、心因性EDが続けば、テストステロンが減少するなどして器質性EDになることにもなります。

それではなぜ夫婦はセックスに積極的になれないのでしょうか。日本家族計画協会の2017年度報告(図参照)では、男性で最も多い理由が「仕事で疲れている」ことで、女性では「面倒くさい」ことが一番でした。

一般に「セックスできない夫」や「セックスしたくない妻」と呼ばれたりするのもこうした理由背景があるからです。ただ、女性にも男性同様に「仕事で疲れている」ことが上位にあり、男女に共通して「出産後何となく」があります。また、「家族(肉親)のように思えるから」の理由は男性に特異的です。

[図] 夫婦におけるセックスレスの理由
対象は16~49歳の夫婦1千人以上【日本家族計画協会「男女の生活と意識に関する調査」(2017年)資料より引用しリスト化】

男性も女性も日々の仕事で疲れ、女性は出産すると家事に加えて育児に追われ心身の全てを注ぎます。そのうえ男性が家事・育児分担をおろそかにするようなことがあれば、なおさら不満感が募って、「出産後」には「セックスしたくない」かもしれないのです。

パートナーとのセックスが結婚後次第におろそかになってきていても、しかたのないことだと自覚しています。もはや、セックスが夫婦生活にとって不可欠なものだとは思っていないのです。

結婚して3年もすればセックスレスになるのはごく普通になっています。パートナーへの当初のドキドキ感が薄れ、新たな家族として子どもが誕生したりするのですから、パートナーに注がれる気持ちだって分散されます。

家族の日々の生計を立て、仕事や家事を滞りなく遂行しなくてはいけません。夫婦ともに経済的・精神的・肉体的ストレスが個人に重くのしかかってきます。夫にとっては、妻を空気のような存在として認識するようになり、「家族(肉親)のように思えるから」の理由もそんな意識が根底にありそうです。

それどころか、夫婦が歳を重ねてなお頻繁にセックスすることを自嘲的に考える風潮すらあります。そんな心身ともに余裕のない状況で、セックスやその前後の行為を「面倒」に感じても無理はありません。

そしてセックスレスの期間が長ければ長いほど、セックスそのものへの関心を失い、ますますセックスがおっくうになってしまいます。「セックスできない夫」や「セックスしたくない妻」が増えても当然かもしれません。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『ストップthe熟年離婚』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。