第3章 国によって異なる永住権

1. 永住権の種類

各国の永住権には、大枠として次のような種類があります。

①一般永住権

主に就職などで就労、居住許可を得ている人に対して、その国での働き、生活実績をもとに申請資格が与えられます。通常その資格を得るには4~6年を要します。

②公募永住権

申請者の年齢、学歴、職歴、資産、資格や語学力などの各項目のレベルをポイント制で評価し、一定数のポイントを申請条件にしている国が多くあります。この公募永住権制度を採っている国は、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンなどです。各国とも高得点の人から順に永住権を獲得できますが、年々申請者が増え取得が難しくなっています。このうち、アメリカは抽選制もあり、アルゼンチンは任意審査といって在日大使館で書類審査と面接で審査します。

③特別永住権

公募永住権以外で、国や州などによって特別に制度化された永住権を指します。 第4章などで詳しく説明しているフィリピンの特別永住権(APRV)もこの一つ で、オーロラ州独自の永住権プログラムです。

④投資永住権

海外からの投資による経済振興を狙った施策で、各国で資格申請に必要な投資額は異なります。主に起業家に対して提供されるプログラムですが、すでに起業して事業 を行っている人も対象となります。

⑤配偶者(婚姻)家族永住権

永住権保有者の配偶者や家族に対して永住権を付与するものです。ファミリークラスと呼ばれ、必要性の高さから、最も取得が容易に認められます。そしてこの取得条件において、各国にあまり大きな差異はありません。

2. 各国の永住権比較

この項では、日本人に人気のある国の永住権を比べてみます。ここに例示した条件には各国ごとにさらに細分化された規制、条件があり、いつ変更が入るか分かりませんので、詳しくは各国の大使館などに確認することをお勧めします。

❶米国

米国の永住権を取得すると、日本でもおなじみの通称グリーンカードが発給されます。このカードの発給承認条件は、家族、雇用、投資、コンピュータによる抽選に大別できます。

①家族が米国籍を持つもの
米国国籍あるいは永住権を持つ配偶者や親、兄弟や子供の家族が対象となります。

②自己の才能、能力によるもの
・ 世界的にも著名で並外れた能力を持つ人、優れた業績のある学者、研究者がまず対象となります。科学、芸術、教育、スポーツとその対象分野は幅広いです。

・ 高学歴者、通常マスタークラス(博士)の学位を持つ人も対象となります。各分野の専門家で米国の経済、文化、厚生部門に貢献できるということが対象条件です。

・ 企業の役員、管理職で米国内の親会社や支社、系列会社で活躍が期待される人を対象とします。

③投資によるもの
100万米ドル(1億1000万円)以上の投資をし、2年以内に10人以上の米国人の直接雇用が条件となります。このほかに時限立法として特定の地域内で50万米ドル以上の投資で永住権の対象となるプログラムもあります。これは特定地域の発展と雇用促進を目指す期間限定措置です。

④コンピュータによる抽選
抽選によって取得する移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program)です。年1回抽選があり、当選すると永住権が発給されます。年間5万件の認定があると言われています。移民率の低い地域、国ほど多く配分されるようにコンピュータによって抽選が行われます。ただし、過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り込んだ国は対象外となります。

グリーンカード認定は年間100万件を超えるともいわれますが、トランプ大統領は国内雇用の拡大のために、大幅な縮小を目指し議論を呼んでいます。

また近年はこの永住権や市民権を放棄する人が増えているようです。その理由は、2010年に成立した外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)により、海外資産や取引などの報告を義務付けられるようになったことです。特に永住権の場合、いかなる理由があっても1年の半分以上を米国外で過ごすと永住権剥奪の可能性がある、所得税も一般的には日本より高い、また災害や紛争など有事の際に救済される優先順位は市民権の保有者より低いといった理由も大きいと思われます。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。