Ⅱ.これこそが慢性病の根本原因だ!

3 両発作死の直接原因物質の正体​

ところで、このようにして産生されたタンパク質由来のアミン類は、体内で産生されるあらゆる物質の中でも特に強力な血管収縮・痙攣作用および組織傷害作用を持つことが知られています。

なお、アミノ酸には数多くの種類があります。これらのアミノ酸類が、右記したpH値の数値と近似した範囲の酸性条件下で腐敗した際に、それぞれに対応したアミンへと変化することは、生化学分野の研究成果としてとうに明らかにされていることなのです(なお、アミンと呼ばれる物質にも様々な種類のものがある。本書で取り上げるアミンはタンパク質由来のものなので、以後これを「タンパク性アミン類」と略記する)。

以上のことをまとめると、「このようにして産生されるタンパク性アミン類の産出・吸収こそが、人間の死をも引き起こす両発作の根本原因である」ということになります。父がたどり着いた結論は、そういうことでした。

つまり、「強酸性条件下の腐敗」ということこそが、タンパク性アミン類産生の化学反応発生の鍵を握る特徴となる条件であるという結論に父は到達し、今から半世紀以上も前に、この両発作の根本原因となる「腐敗便」を「酸性腐敗便」と自ら命名したのです。

ところで、このような命名を行ったことでちょっと引っかかる問題が生じました。それは、酸性腐敗便という言葉の中の“便”という文字は、体内から体外へと排泄された“糞”を通例意味するという問題です。すなわち、体内から排出される前の、まだ腸内に存在する高度に腐敗した不消化残渣(ざんさ)に対して「○○便」というような名称を付けることは、医学的な精度を欠き、不適切なことであるかもしれないのです。

しかし、このような問題がたとえ存在するとしても、全世界で毎年二千数百万人もの生命を奪い続けてきている両発作の根本原因の正体を一刻も早く人類に知らしめるためには、かなりのインパクトがある短い字句で、人々に強く印象付けることが何よりも肝心であるという判断から、「酸性腐敗便」という言葉の命名を父は行ったわけなのです。

したがってそれ以降父は、「酸性腐敗便の産出・吸収こそが両発作の根本原因である」という学説を国内外の学会(第4回および第7回日本老年医学会総会〔1962年、1965年〕や、第7回国際老年医学会総会〔1966年、オーストリア・ウィーン〕)で発表するようになりました。また私は、著書『猛毒「酸性腐敗便」が突然死を招く』(ハート出版、1993年。今は絶版)、『医療革命』(アジア印刷、2003年)他の出版や講演会など、機会あるごとに父の研究成果を人々に訴え、この学説の啓蒙活動を父子共々半世紀余にわたり展開してきています。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。