核心2

3 長方形と正方形の 物件

長方形はコスト高

柱や梁は、反力やモーメントが大きければ大きいほど鉄筋の使用量が増える ので、コストが掛かるというのが建築構造の基本的な考え方だ。これを踏まえ、構造という観点で、正方形と長方形の物件のどちらが有利かということを解説する。

長方形は間口が狭いので反力が掛かるため、梁だったり柱の高さや太さなどで 鉄筋の使用量が増える。正方形は力が均等に掛かるため柱や梁はだいたい同じ大きさになる。

長方形は短辺に力が集中するため柱の数が多くなり、太さも過重によって増えるため、複雑な構造計算が必要になる(図1)。これまでの間口の狭い方がいいという主張と少し矛盾した解説になるが、間口の広い正方形の建物よりも、間口の狭い長方形の物件の方がコスト高になる。

新築ならコストが少ない分、利回りも有利という理由で正方形。中古物件なら利回りを考えた上で長方形を買えと勧めたい。長方形の物件は構造上、建物全体にお金が掛かっているからだ。

最近は地震が多く、建物の耐震や構造を気にする人も増えている。地震に強そうに見えるのは正方形の物件だが、長方形だろうと正方形だろうと、どの物件も構造計算はきっちりしているので頑丈さはどちらも一緒。中古物件は工務店の考えを逆手に取って長方形が得ということだ。

[図1]長方形の物件は西洋系よりも反力がかかる

長方形でより魅力的なプランを

正方形よりも長方形の方が、プランを練りやすいという点を強調する。 大手ハウスメーカーがつくるアパートやマンションのプランは、ほとんどが 正方形を「ようかん型」に仕切っている。

全ての部屋に朝日を入れようと南に バルコニーを設置するため、自然とそうなってしまうのだ(図2)。コストや建てやすさも理由のひとつだ。一方で、長方形の建物は全ての部屋が角部屋になる(図3)。

[図2]正方形の物件い多い全戸南向きバルコニー
[図3]長方形の物件は全戸が角部屋になる

正方形は「全戸南向きのバルコニー」、 長方形は「全戸角部屋」と、どちらも 売り文句には困らないが、型にはまったプランよりも、より個性的で柔軟なプランを考えようと言いたいのだ。そうした観点で見れば正方形よりも長方形が魅力的だということだ。

アパートやマンションを建てるなら ターゲットにする入居者の年齢など特性を捉えプランを考えることも必要。 ファミリー向けマンションなら南向きのバルコニーが大きなアピールポイントになるが、単身者向けの1LDKなら長方形の部屋割でもいいはずだ。

間口の狭い長方形の土地で部屋数を増やそう

正方形と長方形で家賃収入が変わるケースがある。

太陽の影の制限で、間口の広い正方形の物件は3階までしか建てることができないが、間口の狭い長方形の物件は同じ条件でも4階建てが可能だ。正方形は1階に4部屋で計12部屋、長方形は4階で16部屋を稼げる計算になる。

土地 の価格は間口が狭い方が8掛けで安い。 バルコニーが北に向いているからといって、光が全く入らないということはない。北からも柔らかい光が入る。長方形は正方形に比べ建設コストは掛かるが、長方形の土地を選ぶ理由もそれなりにあるということだ。

また、道路にどう建物が面しているかによってもマンションの顔はだいぶ変わる。 正方形の「ようかん型」で南に道路がある土地は、道路の正面にバルコニーが来ることになるが、北に道路があるとそうはいかない。

長方形の土地なら北に道路があっても朝日が入る場所は確保できるので、正方形よりも長方形の方がプランをつくりやすいということが、ここでも裏付けられている。 北向きの土地よりも南向きの土地が高いということは何度も紹介してきた。

土地を購入する時は、北向きの土地でも十分に利回りのいいプランをつくることができるというイメージを持ってほしい。

※本記事は、2019年8月刊行の書籍『大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。