Ⅱ.これこそが慢性病の根本原因だ!

2 視点を変えると、見えてくるもの​

死をもたらす強烈な打撃の正体は何か

ちょっと物騒な話ではありますが、人間を物理的な手段を用いて殺す場合のことを想像してみてください。

バットなどで力一杯殴るとか、自動車で撥ね飛ばすとか、ナイフでめった刺しにする等々、相当に強い打撃ないし高度の傷害をその体に与える必要があるわけです。

例えば皆さんは、つい最近まで元気だった人が急死して、非常に驚いた、という経験をお持ちではないでしょうか。

そこで、次のことを皆さんにお考えいただきたいのです。 それは、それが殺人によるものであれ病気によるものであれ、“死”という結果が生じるには、かなり激しい打撃や傷害が加わらなければ、人間が呆気なく生命を失うことはまず考えられないはずです。

但し、殺人と病死との間には明らかな相違点もあります。その相違点の中でも特に注目していただきたいのは、それらの打撃や傷害の加わる力の方向です。

すなわち、殺人や事故死の場合、その力は体の外側から内側に向かって加わります。一方、病死の場合には、体の内側から外側に向かってその力は加わると考えられるのです。

したがって、病気、ことに循環器系疾患による死の場合は、例えば棒で殴って人を殺せるのに匹敵するほどの強烈な打撃(あるいは傷害)が、体の内側から加わることによって生じるはずなのです。

そこで、体内で生じる強烈な打撃ないし傷害で、人間を急死させる原因になり得るものとしていったい何が考えられるのかということが、次なる大きな課題として浮上してきます。

もちろん、全く健康な人が事件や事故で亡くなられることと、体の衰弱した人が病気で亡くなられることとを、同じテーブルに載せて議論するのは、少し乱暴な話だと感じる人もおられることでしょう。

しかし、現代医学では、病気で人間が死ぬことの大半の根本原因を未だ十分には解明できずにいるのですから、少々乱暴であっても、これを取っかかりとして、最終的に“なるほど!”と思っていただけるだけの筋の通った理論となり得るか否かということのほうが、この際遥かに重要なことであると私は考えるのです。

では、両発作によって起こる死についてここで深く考えてみましょう。

例えば、脳溢血発症時に血圧値が、時に測定不能なほど異常に上昇することを父は認めました(なお、心臓発作の場合にも血圧値の激烈な変動は生じるので、ここで取り上げる血圧の激 変は循環器系疾患全般に及ぶものとお考えください)。

ところで、一般の血圧計は300ミリHgまでしか測定値が目盛られていないことをご存じでしょうか。

それはなぜかと言うと、通常はこの数値の範囲内で十分用が足りるからです(一般的に、血 管系が耐え得る血圧は300ミリHgほどであると言われている)。

ところが、重篤な脳溢血発作発症時には血圧値が300ミリHgを遥かに超えて、測定不能なほどの血圧値にもなることを父は確認しています。このことは、京都大学の故・辻寛治教授(元・日本内科学会会頭)も、確認されています。

血圧帯を上腕部に巻き付けるタイプの血圧計で血圧を計った経験を皆さんお持ちだと思うのですが、血圧帯を上腕部に巻き付け、それに200ミリHgになるまで空気を送り込みますと、上腕部が強く締めつけられて少々痛みを覚えます。

ましてや、突如として300ミリHg以上もの圧力が血管系に負荷されたらいったいどうなるか、想像してみてください。その打撃の物凄さは想像を絶するほどのものだと推察されるのです。

したがって、この異常超高血圧を引き起こすものが脳溢血の根本原因あるいは、それに密接に関係するものであるのではとまずは疑って、いったいどういうときに、何が原因であったらこんなことが起こり得るかを考えることは、この問題の原因解明に際して必ず通過すべき順路と言い得るものでしょう。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。