第2章 海外永住権の必要性

1. 21世紀型の新しく豊かなデュアルライフを求めて

リーズナブルで豊かな暮らし

租税負担の軽減について、多くを語ってきましたが、海外移住、そこからの永住権獲得で狙う大きな目標のもう一つは、やはり生活費の安さと気候の良さです。

本書が主要ターゲットとする東南アジア各国の利点は、まずその物価の低さにあります。

シンガポールだけは日本より物価が高く、フィリピン、マレーシア、タイなど東南アジア諸国はおおむね日本よりかなり低価格で食料、生活用品が手に入ります。住宅費なども加えた生活費は日本の半分以下といわれています。

無論、各国の給与、報酬レベルもそれに対応して少額ですが、それゆえに日本から移住すればヘルパーやお手伝いを雇用することも可能になります。

「一年中夏のような気候」というのが東南アジアのイメージです。熱帯雨林、熱帯モンスーン地域で、年間平均気温は内陸部を除き摂氏25度以上です。昼間はきつい日差しが照り付けます。しかし夜になれば日本の熱帯夜のように湿度が高くて寝苦しいということはなく、比較的涼しくてエアコンも不要なところが大半です。

また雨季と乾季があり、雨季には特有の雷雨、スコールに見舞われます。ただし長時間続くことはなく、大方は雨宿りして雨が上がるのを待ちます。

気温の変化が少ないので、衣服も、夏物と冬物の用意が必要な日本とは異なり、仕事とプライベートの区別を考える程度で、これも気楽です。

そして気温変化の少なさは、体調管理をしやすくします。呼吸器疾患、関節の痛みなどを抱える人々が東南アジアでの居住を希望するケースも多く見られます。

また花粉症は、そもそも東南アジアではスギやヒノキが育たないために症状が出ません。その他の要因による花粉症もありますが、現地に行くと症状が治まるという日本人が大半です。

2. 将来のリスクからの避難

日本の将来への不安、その3大リスク

生活の基盤を海外に移したい。そのもう一つの背景には、日本の将来への不安があるはずです。不安要素は皆さん一人ひとり違いがあるとは思いますが、次の3つの要因が共通しているのではないでしょうか。

①日本列島―地理・地形による自然災害のリスク

これは日本の地理、地形上の宿命です。

皆さんの記憶に新しい自然災害ですと、1995年1月17日に発生し6000人以上の犠牲者を出した阪神淡路大震災(マグニチュード=M7.3)、2011年3月11日に発生し1万8000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災(M9.0)といった大地震がありました。

特に東日本大震災においては、東北地方の三陸海岸が「リアス式海岸」という入り組んだ湾の形が災いし、津波が増大し甚大な被害をもたらしました。また、福島の原子力発電所もメルトダウンを起こし、周辺住民が避難を余儀なくされました。

日本列島は世界有数の地震地帯にあります。ユーラシア、北米の大陸プレート、太平洋、フィリピン海の海洋プレートの4つのプレートがぶつかり合う地域にあり、それゆえ周期的な大地震は避けられません。

内閣府の予想でも東海地震は「いつ発生してもおかしくない」状況であり、その他、東南海・南海地震も、今世紀前半に発生する確率が高いと見られています。

内閣府はさらに世界のマグニチュード6以上の地震発生の2割が、日本周辺で起きていると報告しています。

地震と同時に火山も大きな危険性を抱えています。

桜島や雲仙普賢岳、浅間山や阿蘇山といったような活火山の数が約100と多く分布しており、世界の活火山の7%を占めるという有数の火山国でもあります。もちろん、火山によって温泉が湧き出たり、火山の熱を使った地熱発電など恩恵もありますが、やはり噴火のリスクは大きな不安要素です。

2016年の熊本地震から、阿蘇山の噴火の可能性が論議され始めました。阿蘇山で予測されるカルデラ噴火はそれこそ列島崩壊に近いダメージが予想されますが、もう一方で現実味を帯びているのが富士山の噴火です。

富士山は活火山で江戸時代宝永年間の噴火から300年の沈黙が続いており、これもまたいつ噴火してもおかしくない状況と見られています。

富士山が本格的に噴火すれば、首都圏へも大量の火山灰が降り注ぎ、人的被害の他に日本に長期的かつ深刻な経済停滞を招くことが必至です。

海外から見れば、とてつもないリスクの上に日本人は暮らしている、というイメージで、昨今の日本旅行ブームにも冷や水を浴びせかねません。

「自然災害から見て世界で一番危険な都市は東京・横浜、5位タイは大阪・神戸、6位に名古屋」という結果を示したのはスイスの再保険会社スイス・リーが2013年にまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」でした。この一覧には世界2位にフィリピンの首都マニラなどもありますが、人口の密集度、ビル群と交通網の錯綜している状況から、犠牲者数は日本が圧倒に多くなるはずです。

他にも日本には台風が多数襲来し、それに伴う洪水や土砂災害も頻発します。またここ数年顕著になった異常気象は、これまでにない豪雨や豪雪を記録し、大きな被害を招いています。意外かもしれませんが温暖化が進む一方、地球規模で寒冷現象も発生しています。

ロシアのオイミャコン村では2018年1月19日の日中、なんと氷点下61度を記録したと日本経済新聞が伝えています。近年は氷点下50度程度で収まっていた中での変化で、薄着をしていた2人が凍死をするなど温暖化とは全く逆のような事態も起きています。

また、2018年3月2日の同新聞によると、南米のペルー沖、赤道付近の太平洋東部で海面水温が平年より低くなるラニーニャ現象により、偏西風が蛇行し寒気が日本にも押し寄せ、都内でも積雪が起こるなど厳しい寒さに見舞われました。

激しい気候変動は地球規模で起きていますが、その中でも暮らしやすい気候風土と、新たな生活基盤、国を探す動向は、国内外を問わずこれからも増えていくと思われます。

※本記事は、2019年3月刊行の書籍『『日本×フィリピンで実現する 究極のデュアルライフ』』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。