Ⅱ.これこそが慢性病の根本原因だ!

1 慢性病の原因解明を妨げているものは何か​

発症までの長い道のり

既にお気付きの人もおられるでしょうが、慢性諸病に対する現行の医療には、はかばかしい治癒成果をあげられずにいる部分が多々見受けられます。しかも、このような状態が長年続いているため、たとえ医療機関の受診によって速やかに病気が治癒しなくても、まあそんなものだろうと思っている人が大半であるようなのです。

しかし、「なぜもっと速やかに成果のあがる医療ができないのか」という、素朴な疑問を持っている人も中にはおられると推測します。さて、このような事態をもたらしている元凶としてどのようなものがあるかを考えてみると、前述したように、その主因の一つとして、慢性病の発症には長い歳月を要するということがあると判断されるのです。

余りにゆっくりなその変化の進行には、様々な原因因子が関わっていると考えられます。数多くあると思われる因子の中の、いったいどれがその病気を引き起こした主原因であるのかということ、および、その病気発症のメカニズムを見出すことに、医学界は今もなお非常に手こずっているのです。

実際、このような発症形態を持つ数多くの病気について、「これこそがその真の根本原因である」と特定して示すのがかなり難しい課題であろうことは、皆さんにも少しはご想像いただけると思います。やはり、慢性病の根本原因を究明するに際しては、かなりの工夫が必要なのです。

心筋梗塞と慢性病

「慢性病」と呼ばれる病気には数多くの種類のものが存在します。本書では、それらの中でも専門用語で「循環器系疾患」と呼ばれる血管系の障害に起因する病気である狭心症、心筋梗塞、心臓喘息などの心臓疾患、および、脳溢血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患をメイン・ターゲットとして、その原因解明を試みてみたいと私は考えました。

これらの病気をターゲットに選んだ理由は以下に記すとおりです。

一つには、これらの病気は多くのケースにおいて、その発症の様子が突発的かつ劇的なものであり、また、急速度な病状の進行を伴うものであるということです。またもう一つは、数多くの種類の慢性病の発端や増悪化因として、さらには、死の直接因として循環器系疾患が深く関わっているということです。

特に循環器系疾患は、実質的にガンを大幅に上回る、ダントツ1位の死亡原因疾患であると判断されるからです。そして、この循環器系疾患の原因究明を通じて得られた結論を、他のゆっくりとした発症形態をとる慢性諸病にも適応して、その原因解明の研究を進めるという手法は非常に的を射たものであると私は考えたのです。

そこでまず、循環器系疾患の中でもとりわけ激烈な発症の様相を呈することで知られる「心筋梗塞」を俎上(そじよう)に載せて、その原因究明を始めてみたいと思います。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。