Ⅰ.人間の最大の死亡原因は何か?

3 人間の大半は、腹壊しとカゼで死ぬ

心臓発作と脳卒中は、成人バージョンの“引きつけ”だ

ここで話は一気に飛びますが、私はこの項にタイトルとして挙げた結論に達しています。

しかし今日の医学界では、このような判断は全くなされていませんので、私の判断に対して皆さんは、まずは胡散(うさん)臭さないし強い疑いを持つであろうことと私は推察するのです。

そこで、その疑念を払拭すべく、私の判断の根拠を以下に詳しく記すこととします。

さて、「引きつけ」は、乳幼児の病気として知られています。

我が子が突如体を極めて激しく痙攣させて、顔色は蒼白化(血管収縮)し、時に白目を剝(む)いて遂には意識を失い、体がグッタリと脱力した状態になってしまったとき、親御さんたちは非常な驚きと心配を感じることでしょう。

引きつけに際して、なぜ痙攣が生じるのかということに関して医学界は、高熱が原因で起こるとしています。そのため医学界では引きつけのことを、「熱性痙攣」と呼んでいます。

そもそも、引きつけが糞便の排出処置により速やかに軽快治癒することは、医学界においてよく知られています。実際、小児科医は引きつけ治療として必ず浣腸の処置を行っており、優れた治癒成果をあげ得ています。

引きつけ治療に際してこのような処置をなぜ行うのかというその理由について医学界は、糞便の排出により解熱が起こる結果、痙攣の発生を抑えることができるためと説明しています。

なお、我が子が引きつけを起こしたとき、家人が速やかに手際良く浣腸を行い、うまく糞便を十分量排出させることができた場合、その後往診の依頼で病人宅へ駆けつけてきた医師の、「引きつけのお子さんはどちらにおられますか?」という言葉に対し、「あそこです」と母親が指差した先には、近所の子供たちにまじって元気に飛び回って遊んでいる我が子の姿があったというようなことも、実際にある話なのです。

今より優に半世紀以上も昔のこととなりますが、私どもの故郷である埼玉県の外秩父に父が往診した際に、行った先の農家の主婦が、引きつけに対する必須の対処は浣腸であることを知っていたのです。

そして、「田舎では往診してくる医師の手当てを待っていたのでは急場には間に合わないので、浣腸で便を出せば引きつけが治ることは農家の主婦たちの常識になっている」と言う主婦の言葉に父は、“我が意を得たり”と思ったと言います。

田舎では隣近所との付き合いが密に行われていますので、このような叡智の情報が伝えられやすかったのだと考えられます。その点都会では、“隣は何をする人ぞ”という状態にあることが多く、このような貴重な情報の伝承の糸が途切れてしまっているようで、極めて残念です。

ところで父は、「高熱が引きつけ発症時の痙攣発生の原因である」という医学界の判断に強い疑問を持っておりました。

なぜかと言いますと、高熱が引きつけの原因だとすると、糞便排出の処置が行われてから解熱が生じるまでの間に、たとえ僅かであれ時間差が存在するはずだと父は考えたのです。

ところが、引きつけ治療に際しての浣腸によって十分量の糞便が患者の体内から排出されるのとほとんど同時と言えるほどに、引きつけの諸症状はたちまち雲散霧消するのです。

したがって、従来の判断には大いに疑問が湧いてこなければならないはずなのです。さらには、引きつけの際の熱よりももっと高い発熱があっても、痙攣の生じないケースもあるのです。

但し、引きつけに際しての発熱が脳に対してなんらかの影響を有するものであって、その脳に対する刺激のために痙攣が生じる可能性はありますが、この点についての確認が十分に取れているとは考えにくいのです。

そこで、もし高熱が引きつけ時の痙攣の主原因ではないとすると、この痙攣発症に関して新たな別の原因が他に何か存在しなければならないということに理屈上なってくるわけです。

そうであるとしますと、多量の糞便排出に成功するのとほぼ同時にたちまち引きつけが治癒するのですから、排出させた糞便中に激烈な諸症状を生じさせる原因物質が何か存在するのではないかという推理は、当然思い付く範疇のものであろうと考えられるのです。

そこで父は、排出させた糞便中に、それら諸症状を起こさせる作用を持つなんらかの物質が存在するか否かを追求しました。そしてその結果、そのような物質の存在を確認し、その後、その正体までをも明らかにしたのです。

さて、父の発見はあることを示唆します。

実は、引きつけの主症状である激烈な血管収縮と痙攣は、両発作と共通するものです。つまり、引きつけの根本原因を突きとめたということは、両発作の根本原因を明らかにしたことにもなるのかもしれないのです。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。