Ⅰ.人間の最大の死亡原因は何か?

3 人間の大半は、腹壊しとカゼで死ぬ

人間の健康と生命損失に関わる原因因子には数多の種類のものが存在すると考えられますが、それらの中でも「腹壊し」と「カゼ」のこの二つこそが、それら数ある原因因子の中でもダントツの存在であることを、長年にわたる研究成果として私の父は明らかにしました。

さらに、この二つに加えて、糖尿病発症による血糖値上昇、また、泌尿器(腎臓)の機能低下による尿毒症の発生(このことは、腹壊しと重複する部分が多々ある)、さらには動脈硬化が、生活習慣病罹患に関わる五大原因因子であると私は結論付けています。

さて、人間の体を類似の機能を持った組織ごとにまとめると、骨格系、表皮系、筋肉系、脳・神経系、内臓(消化器)系、呼吸器系、循環器系、泌尿器系、内分泌系、生殖器系などに分類されます。

これらの各種組織は、歳月が長く経過するに従い、その間に起こる様々な出来事によって徐々に機能低下を生じ、その衰弱の変化の進行に伴って、健康を維持する上での様々な支障が発生してくるようになります。

ことに、主に内臓(消化器)系の機能低下が生じた場合には腹壊しが発生しやすくなります。また、呼吸器系と循環器系の機能低下が合わせて生じた場合にはカゼに罹患しやすくなり、さらにそれが高じた場合には肺炎を生じるに至ると私は結論付けています。

つまり、腹壊しとカゼの二つは、人間(広義には人畜)の命が有限であって、その命が宿命的に奪われる、一生の締めくくりの鍵を握る存在であるという結論に私は達しているのです。

また、泌尿器(腎臓)は、体内で様々な活動が行われた結果として産生される代謝産物や老廃物を体外に濾過、排出する役割を担っている組織であるため、この臓器の機能低下が生じると、毒性を持った諸物質の血中濃度が上昇し、それが原因でさらなる様々な支障が生じてくるようになります。したがって、このことも人畜に最期を迎えさせる原因因子の主要な一つだと考えられます。

なお、腹壊しとカゼとは、従来より、腎臓障害の二大原因因子として知られているものです。但し近年は、糖尿病発症による血糖値の上昇が、糖類が非常に強力な傷害作用を持つことから、それが原因となって高度の腎臓障害を招き、血液透析が必要となることの主たる原因因子になるという、非常に大きな変化が生じてきています。

なおカゼは、体が少し虚弱な人ですと結構しょっちゅう罹患しますし、また、病気ということとはその意味合いが全く違ってきますが、休みを取得する際の最も当たり障りのない言い訳として汎用されているなど、数ある病気の中でも私たちにとって特に馴染み深いものです。

しかし、実のところ、カゼという名の付く病気はかつては医学の世界に存在せず、専門的には「カゼ症候群」と呼ばれていて、発症した際の症状の似た一群の病気のことでした。ところが近年、医学界ではこの病気の発症原因に関する判断にさらなる改革が行われたようで、今日、カゼは「(カゼ)ウイルス」が原因であるということになったのです。

但し、私が肺炎の発端になると結論付けているカゼの主原因の正体は、カゼウイルスではなく「溶血性連鎖球菌(溶連菌)」と呼ばれるものです。

なお、カゼの発症原因に関する改革が行われる以前までの医学界においては、「カゼの原因はカゼウイルスおよびそれと共棲的に増殖する溶連菌である」と判断されていました。つまり私は、改革以前の判断のほうが妥当なものであったという確信に達しているのです。

なお、腹壊しとカゼは、及ぼす被害の甚大さという点においてほぼ同等であって、また、この両者は互いに他を増悪化するという非常に密接な関係性を持っており、どちらかが発端となって他方が誘発発症、増悪化されるというケースも非常に数多くあるのです。

いずれも今日の医学界では正当な理解と評価が非常に不十分な状態にある病気(の原因)であると、私は考えています。

さて、「人生山あり谷あり」という言葉があります。

ところでこの言葉は、健康(体調)の上にも当てはまるものであるのです。

例えば、さほど年齢がいっておらず、したがって、本当の最期にはまだ遥かにほど遠いはずであると考えて安心し切っていた時期にあっても、たまたま健康を損ねるなんらかの原因が一過性に強力に負荷されることが起こって体調の谷間に陥った際には、腹壊しあるいはカゼの罹患により、非常に呆気なく命が失われている事例が結構頻度高く存在するというのが実態であると私は考えています。

しかし、このような傾向がはっきり存在することに現代医学界は今現在気付かずにいるようですので、このような落とし穴とも言うべき罠の存在と、その罠のメカニズムとが啓蒙されるだけでも、全世界で年間何十万人かの命を救い得ると私は考えています。

ですから、これらのそれぞれの事例において、つまずきを生じそうになったり、あるいは、つまずきを生じてしまったりした際に、腹壊しとカゼとの相互の間に密接な関係が存在するということに十分配慮し、油断することなくこれらに対処してその危機を上手にクリアすることができさえすれば、その者はまだその先、数年あるいは数十年も健康で生き続けられる可能性が十分あると私は考えています。

ところが、腹壊しあるいはカゼの恐ろしさとその真の姿を、残念ながら、人々は現在身についた知識とすることができていません。そのため、このような事態の発生時に、これらの病気を侮ったり、あるいは、全く間違った対処を行ったりしてしまい、一つの失敗が連鎖的な失敗を招くなどして、意外なほどに呆気なく命を落としてしまっているケースが結構あるのです。

私はこのことを、非常に残念かつもったいないことだと痛切に感じております。

なぜならば、このような経緯で命を落とされることは、当人たちの無念さは元よりですが、彼らの周囲にいる者たちを極めて深く悲しませることだからです。

すなわち、このようなケースに遭遇するに際して、その病気の原因と発症のメカニズムに関する情報をその者が持っていさえすれば、まさかこんな所に落とし穴が存在するなどとは夢想だにしていない予期せぬ罠にスッポリとはまり込む形で命を落とさずともすませることは十分できたはずだからです。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『殺人うんこ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。